カウントダウン-22
「ゼビアから魔法使いはどれくらい来てる?」
「医療系が3人、魔法士が3人、後ベルリアさんとエンさんっす」
「ゼビアの魔法士3人に各国から10人ずつつけて1つのチームを作りましょう」
その3チームは避難場所から伸びる洞窟を抜けて北に出る。
北に伸びる洞窟は全部で4ヶ所。
敵が来たら状況に応じて奇襲をかける事にした。
「指揮はサイラの兵士から、サイラはこの中で一番攻撃に向いてるし、団体戦が上手い。ゼビアの魔法士の力を良く把握して作戦を立てて下さい。連絡係にはカイザスから、身軽で飛び道具が得意だから援護は任せた方がいい。ゼビアとファンはサイラに従う事。ゼビアの医療系魔法士も各チームに1人ずつついて下さい」
キャラの作戦にざわざわとチーム分けが始まる。
ファンの兵士は半分は避難場所の守護にあてられた。
残りはキャラを中心に正面から北に向かう。
『ファン150人、ゼビア4人、親父にエンとデレクシス、後俺か……ギリギリだな』
「オレらは囮だ。奇襲チーム次第でどうにかなるだろ」
大雑把だが兵士達の力を引き出すには、ある程度任せておいた方が上手くいく。
オーウェンは守護神と言うだけあって攻撃には向いてないので、避難場所の守護に回ってもらう事にする。
「キアルリア!!」
そこへギルフォードが避難場所から戻ってきた。
「兄上、ステラ義姉さんは大丈夫ですか?」
「ああ、怖がっている子供達の相手をしている……それより……」
ギルフォードの後ろから坊主頭の男が現れる。
「あ〜っと、どうも、俺ぁ漁師のダリル。北の海でアース拾いましたよ」
ダリルの言葉にギルフォードはキャラを肘でつつき、グロウはホラな、と言う顔でキャラを見上げる。
「い……今なんて?」
「北の海でアース拾いましたよ〜」
「無事……なのか?」
「無事っつうかまぁ、傷だらけですが生きてやす」
ダリルはビリビリの制服をキャラに渡して、アースを拾った経緯を話した。
「1時間ぐれぇ前に意識が戻りやした。今は最北の入り江に俺の息子と弟と一緒にいやす。弟は船医なんで応急措置はばっちりっすよ」
キャラは制服を握りしめたまま、ダリルに抱きつく。
「どえぅえあ?!」
ダリルは驚いてすっとんきょうな声をあげ、オタオタした。
「ありがとう」
絞り出すようなキャラの声はまるで泣いている様で、ダリルは恐る恐るキャラの背中に手を添えて慰めるように擦る。
ガバッと顔をあげたキャラはダリルの頬にチュウッとキスをした。