カウントダウン-20
「交代で休息を取って。代表者は集まって作戦を立てます。カイザスのピートもお願い」
キャラの言葉に兵士達はざわざわと行動し始めた。
「私も残るよキアルリア姫♪」
軽薄な声にキャラが顔を向けると、そこには言わずと知れたデレクシス。
「……覚悟が出来ているのならご自由にどうぞ」
あっさり残る許可を出したキャラに、兵士達は思わず嫌な顔をした。
「その代わり、精霊と契約して下さい」
「……は?」
キャラの言葉にゼビア騎士団が面白そうに動きを止め、他の兵士達も不思議な顔をしながらキャラとデレクシスに視線を注ぐ。
「何が気に入ったのか知らねぇが、あんたに精霊がついてます」
キャラはデレクシスの右肩を指差した。
(なぁ、精霊ってなんだ?)
カイザスの兵士がゼビア騎士団に聞く。
(あんたらも見たろ?赤いドラゴン。あれは火の精霊で、うちのエンさんについてるんだ。どうやらお宅の王子は魔力持ちで、精霊がついてるらしいな)
話ながら少しずつデレクシスから距離をとる騎士団と共に、同じく距離をとりながらサイラの兵士が話に割り込んだ。
(ってか何で逃げてんだ?)
(エンさんがドラゴン……アビィと契約した時、いきなり巨大化して大変だったらしい)
実際巨大化するかどうか分からないが、巻き込まれるのはゴメンだ。
話を聞いた兵士達はザザッと後退る。
「契約後どうなるかはわかってねぇが、それでも良いならその精霊に契約するかどうか聞いてみます。嫌なら避難場所へ行って下さい」
素っ気なく言うキャラの言葉に、デレクシスはゴクリと喉を鳴らした。
「どうします?」
「い、いいとも。是非とも頼む」
デレクシスの返事に頷いたキャラは、その右肩に手を差し出す。
キャラにしか見えてない精霊は鷲のような姿の風の精霊。
しかし、その体色は極彩色でまるで極楽鳥。
オレンジをベースに目と尾羽はブルー、体はグリーン、頭のてっぺんに生えている長い飾り羽は赤……なんだか眩しい。
「お前はどうする?」
差し出した手に飛び乗った鷲は羽を広げて同意の意思を示した。
キャラは鷲のクチバシに口付けて魔力をわけてやる。
すると、今まで何も居なかったキャラの腕の上に極彩色の鷲が現れた。
鷲はデレクシスと視線を合わせて首をかしげる。