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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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カウントダウン-15

「どれ、脚か?腕はどうする?」

 気を取り直したゲイッシュはどこから手をつけるかアースに聞く。

「腕はミヤに任せた方がいいから……それ以外」

「おう」

 ゲイッシュはケイを退かすとアースに掛けてあった簡易毛布をまくった。
 右ふくらはぎに巻いてある包帯には血が滲んでおり、ゲイッシュが包帯を解くために動かす度、痛みがはしる。

「うっわ……」

 包帯が解かれた傷口を見たアースは思わず呻いた。
 ざっくりとえぐられた肉は皮一枚でなんとか繋がっている状態。
 これを一応元の位置に戻して固定したゲイッシュは名医と言えるだろう。

「咄嗟に腕と脚でガードしたんだろうな、他は比較的軽傷だ……ま、目は潰れたが脳みそまでいかなくて幸いってとこだな」

 ゲイッシュの話に耳をかたむけながらアースはふくらはぎに手を添える。
 細胞レベルで傷を修復するために、内側から徐々に組織を繋いでいった。

「い……つぅ……」

 魔力は出来るだけ使わないように痛みは消さずに治していくが……麻酔無しで手術をしている様なものなので痛い。
 目の前で傷口が塞がっていく様はまるで魔法のようだ、とゲイッシュは感動した……まぁ、魔法なのだが。

「……っし、脚完了。次、脇腹か?」

 脂汗を流しながら治療したアースが手を退かすと、傷跡を残しただけですっかり元通り。

「おいおい、魔法ってのはやっぱ凄えもんだな。医者いらずかよ……」

「叔父さんが応急措置してくれなかったらここまで綺麗に治せなかったぜ?」

 体の専門知識はアースにはない。
 ゲイッシュが元の位置に戻してくれてなかったら、きっと手っ取り早く引きちぎって傷口を塞いでいただろう。
 細かい傷はほっておいて大きい傷を治していく……しかし、目は……。

「……これは……修復は無理かなあ……」

 ゲイッシュに鏡を持ってもらって右目を覗くアースは深くため息をついた。
 縦に走った傷は治せそうだが、問題は中身。
 真っ赤に染まった眼球は……どうなっているのか検討もつかないほど潰れている。

「やっぱ、見えねぇと不便だよなぁ」

「いや、見えねぇのはどうでもいいが……お気に入りなんだよなぁ……」

 自分の目がそんなに好きかよ、とゲイッシュは呆れた。

「気にいってんのはキアルリアだ」

 一番始めに好きになってくれた部分だ……大事にしたかったのになぁ、とアースはがっくり肩を落とす。
 どれだけ肩書きが偉そうでもただの男だな、とゲイッシュはアースの肩を叩き汚れた包帯を洗いに行った。


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