カウントダウン-14
「魔法使いが万能だと思うなよ?さぁ、あんたからくるか?それとも押し倒して奪ってやろうか?」
それくらいならこの体でも出来るぞ、とアースは左手をわきわきさせる。
「うぅ……自分から……やる」
ケイは項垂れてアースににじりよった。
「叔父さん、あっち向いててくれよ……」
「くくくっダリルには黙っとくぜ」
涙を流しながら笑い続けるゲイッシュは、ヒラヒラと手を振って後ろを向く。
確かに……父親には知られたくない……。
「油断してっと気絶すっぞ」
来い来いと手招きするアースはケイに忠告して、その手を伸ばした。
「や……優しくして」
「やめろ。気持ち悪ぃ」
ケイの後頭部の引き寄せたアースは乱暴に唇を重ねる。
「っんぅ!?」
唇を重ねるとすぐにケイの魔力を見つけた。
(おお、こりゃぁ濃いや……)
キャラのように溜め込むタイプではないようだが、使った事がない所か気づいてもいなかった魔力だ……濃縮されていて中々美味だ。
「ふ……ぐぅっ……」
尾てい骨辺りから背中を何かがゾワリと這い上がり、口から出ていく感触は形容しがたいもので、ケイは必死になってそれに耐える。
「んくぅぅぅ〜……っぷはぁっ……はぁ……はぁ」
いい加減無理、という所でケイはアースから離れて両手を床につき、荒い呼吸を繰り返した。
「初めてにしちゃ上出来だ。ありがとう、助かる」
「ど……どう致しまして……」
唇をぐいっと拭いて簡単に礼を言ったアースはゲイッシュに声をかける。
「ゲイッシュ叔父さん。包帯解いてくんねぇかな?」
「接吻は終わったかぁ?」
ニヤニヤと振り向いたゲイッシュは血色の良くなったアースと、ぐったりしているケイを見て目を丸くした。
「……魔力を吸われるっつうのはそんなにキツイわけか……」
ケイは海の男なので人並み以上に体力がある。
そのケイがこの有り様だ……からかって悪かったなあ、とゲイッシュは頭をかいた。