カウントダウン-13
「クイン?お前がクインか?なんて可愛いんだぁ!!」
イルカ……クインを抱き締めたケイは涙を滲ませながら頬擦りする。
『ククゥ』
クインも喜んで喉を鳴らして頬擦りを返す。
(よ……良かった……巨大化しなくて……)
止める間もなく名前を喚ばれ、一瞬身構えたアースは心底安堵する。
「あれが……精霊か?」
頭痛が治まったゲイッシュは頭を擦りながら、抱き合っているケイとクインを見た。
「そうです……クイン」
『ククッ』
アースが呼ぶとクインは空中をスイスイ泳いで来る。
「お前がケイを連れて来てくれたんだよな、ありがとう」
アースがクインの頭を撫でると照れたように体をくねらせた後、くるんと宙返りしてケイの所に戻って肩に乗った。
クインの定位置は肩らしい。
「で?クインと俺は何したらいいんだ?」
クインの首あたりを撫でながらケイが聞いた。
「すぐには無理だ。あんた魔力使った事ねぇだろ?ある程度基礎を教えてやるが……その前に……」
言葉の途中でアースは言いよどむ。
「んだよ?言えよ、なんでもするって言ったろ?」
アースは渋い顔をケイに向けた。
「……魔力を分けて欲しいんだが……」
「おう、いいぜ。使った事ねえから絶対フルチャージだ!どうやるんだ?」
呑気なケイにアースはため息をつく。
「……口移しだ……」
「はい?」
「口移し!つまり俺とあんたがキスすんだよっ」
「ぶわはははは」
アースの怒鳴り声にゲイッシュが大爆笑した。
「笑い事じゃねえよ!!なんだよそれ!!」
ケイは顔を真っ赤にしてアースに怒鳴り返す。
「なんでもするっつったのは誰だ!?覚悟を決めろっ!!俺だってやりたくてやるんじゃねぇ!!」
「ううっ」
腹を抱えて大爆笑するゲイッシュを睨みながらケイは唸った。