カウントダウン-11
「どうにかして連絡とれねぇかな?」
アースの言葉にダリルは自分を親指で指した。
「俺かケイが行ってもいいぜ?この洞窟の奥が避難場所の遺跡に繋がってるからな。ゲイッシュは残ってた方がいいだろうし」
「頼めますか?俺の無事と居場所を伝えてきて欲しいんすけど……」
「誰に言えばいい?」
「一番は巫女長ミヤ、他だったら……守護神オーウェンかラインハルト王、ギルフォード……キアルリア、ゼビアから来たのは誰でも大丈夫かな……」
アースの口から出たそうそうたるメンバーにダリルとケイはあんぐりと口を開ける。
「……?」
2人の様子にアースは不思議な顔をした。
「アースってばやっぱりお偉いさん?」
「ああ……そうだなぁ……肩書きだけ見れば」
魔導師の称号を持つゼビア騎士団隊長で、次期国王代理。
肩書きを聞いた2人はズザザッと後退る。
「やめてくれ……そういうの好きじゃないんだ……」
立派なのは肩書きだけだ。
「そうだそうだ、肩書きだけで態度変えたら気分悪りぃぞ!!俺にとっちゃ患者は患者でしかねえぞ」
「おお、いいねぇゲイッシュ叔父さん。気が合いそうだ」
アースとゲイッシュの声に、それもそうかと考えた2人は顔を見合わせて肩をすくめた。
「ほんじゃ俺が行くわ」
ダリルは立ち上がってそのまま屈伸する。
「お願いします。あっと……なんか証明するもん……」
「服あるぜ?」
ケイがビリビリに破れたゼビア騎士団の制服を広げて見せた。
「ま、大丈夫だろ……」
制服を受け取ったダリルはじゃあな、と手を振って洞窟の奥へと消えた。
「さてと……」
咀嚼していたパンをスープで流し込んだアースはケイに目を向ける。
「乗りかかった船に乗っちまう気はあるか?」
アースの言葉にケイは首を傾げた。
「乗っちまったら後戻り出来ねぇし、ぶっちゃけ死ぬかもしんねぇけど……」
「ファンの為になるならなんでもやるぜ?何したらいい?」
ケイの答えに満足そうに笑ったアースは、ケイの肩を指差した。