都会の光-1
目の前に大輔君の頭がある。
私の肩に乗っている頭。
ちょっと体に力が入る。
ちょっとドキッとしてしまう。
冴木由梨。
今日、28歳になりました。
体が落ち着かない。
大輔くんが寄りかかっているからじゃない…
今、大嫌いな飛行機の中。
東京へ向かう飛行機の中。
飛行機は大嫌い。
ジェットコースターもダメで…
あの一瞬無重力になる感じとか予期せぬ揺れとかが苦手。
そもそもあんな鉄の塊が浮くなんて信じられない!
でも時は金なり。
旅行には欠かせない。
時間節約のため飛行機になる。
結局、東京旅行は大輔くんと行っている。
他に行く人は見つからなかったし、大輔くんも結構行く気満々だったから。
ただ、水曜日まで大阪に出張だった大輔くんは木・金曜日とかなり忙しかったらしく、昨日は日付が変わった4時前まで仕事をしていた。
今が10時前だから、つい6時間前まで。
昨日の20時頃大輔くんから電話があった。
『由梨悪い!俺仕事が終わりそうにないわ。たぶん徹夜になる。もし、俺が今日中に終わらんかったら、荷物持って空港行ってくれるか?会社に泊まって直接空港行くわ。明日からの旅行の準備は何とか終わってる。今会社か?』
「え?大丈夫なの?ごめんね…まだ会社だよ。」
『いや、気にするな。俺も東京行きたいし。仕事も俺が終わらせて行きたいと思ってるだけだから。空港には間に合うように行く。俺の家にいてもいいから。また終わったら連絡する。12時頃にも1回連絡するわ。』
「無理しないでね…」
そんな感じで、1度家に帰ってシャワーを浴びて、自分の荷物を持って大輔くんの家に行った。
さすがに忙しかったらしく、珍しく片付いていない。
ただ待っていても暇なので食器を片付けたり無造作に置かれた服を整理する。
12時すぎにかかってきた時は帰るのは厳しいけど、少しは寝れそうって言ってた。
私が大輔くんの家にいると伝えると、ベットを使って寝るように言われた。この間の月曜日、ソファで寝たことがばれてるから。
結局大輔くんは帰ってこなかった。
4時に終わって、そのままビジネスホテルで8時まで仮眠して、空港に来てくれた。
で、飛行機に乗って最初は話してたんだけど、15分くらい経った頃に寝始めて、今に至る…