都会の光-4
「ごめんね。困らせてるね、その反応。待ち人がくる間まで、話して待ってくれない?俺携帯も荷物も渡したままでさ。邪魔じゃなかったらと思って。そんな怪しまないでくれたら嬉しいんだけど。」
顔に出てたのか、ちょっと申し訳なくなってきた。
突然で警戒したけど、そこまで悪い人じゃないかもしれない。
「すみません、冴木由梨です。」
「ゆりちゃんかー。旅行か何か?」
「はい、福岡から。」
「彼氏と?」
「いえ…彼氏ではないです。」
ユウキさんが笑う。
「ではないんだ?俺、来週仕事で福岡いくんだ。福岡何回か行ったけど、ご飯美味しいよねー。屋台とかすごいしね。」
「普段は東京ですか?」
「まあ、そうだね。全国色々行ったりする。ゆりちゃんは旅行はどこにいくの?」
「細かくは決めてなくて…今日は横浜で、明日東京少し見て午後に帰る予定ですね。」
「横浜行くの?俺もこの後東京戻って、午後から横浜で仕事なんだよ。」
「そうですか、大変ですね。」
忙しそう。
こんなとこで話してて大丈夫なのかな?
「ゆりちゃんの連れってあの電話の彼?」
ユウキさんが大輔くんの方を見ながら聞いてくる。
「え、何でですか?」
「いや、さっき俺ずっと見られてたから。」
大輔くんを見ると、ちょうど電話を終えたのかこっちに向かってきている。
「由梨すまん!どうもすみません。」
大輔くんがユウキさんにも謝る。
「いえいえ、俺もちょうど連れとはぐれてしまって。話し相手になっていただいたんです。こちらこそ勝手にすみませんでした。」
ユウキさんが笑顔で言ったとき、別の声がした。
「佑樹さん!何してるんですか!時間ギリギリなんですよ!…お知り合いですか?」
スーツを着た綺麗なお姉さんが小走りで近づいてくる。
「いや、今少し話してた。そもそも俺トイレ行くって言ったのに、片桐が居なくなったんだよ。」
ユウキさんは不服そうに言い返す。
「いつも放浪してるから、どこのトイレかわからなかったんです!」
そう言って片桐さんがこちらに頭を下げた。