都会の光-15
「由梨ちゃん、眉間の皺すごいよ。」
「すみませんっ!」
思わずおでこを隠してしまう。
高橋さんはまだ笑ってる。
「俺ならそんな顔させないのになぁ。そこ左に曲がったとこだよ。」
高橋さんが呟き、言った。
左に曲がるとお洒落なお店があり、その前に大輔くんがいた。
「由梨!」
大輔くんが笑顔で呼んでくれた。
思わず笑って手を振ってしまう。
「由梨ちゃん、犬みたい。」
隣で高橋さんがまた笑ってる。
「さっきから高橋さん笑いすぎです!」
思わず突っ込んでしまうと、大輔くんが呆れたように聞く。
「由梨、お前一体なにやらかしたんだ?」
「な、何もしてないよ!」
私の言葉を無視して大輔くんは高橋さんに話しかける。
「高橋さん、どうもありがとうございます。片桐と皆さんはもう中に。」
「いやいや、こっちこそ貴重な時間をありがとう。さて、どうする?」
高橋さんと大輔くんがこちらを向く。
「な、何ですか?」
大輔くんがニヤリと笑って言う。
「飯。一緒にって言ってもらったんだ。行くか?」
多分皆さんってことだから、打上げにお邪魔する事になるのかな?
高橋さんを見ると、笑顔で"大丈夫"と口を動かす。
「じゃあ、お邪魔させていただきます。」
「よし、じゃあ行こうか。」
私が返事をすると、高橋さんがお店に向かう。
ポンと頭に手が乗る。
大輔くんを見る。
「悪いな。あんま気にすんなよ。居づらかったら早めに出よう。少し疲れてるだろ?」
「ありがとう。こっちこそごめんね。」
そう言ってお店に入る。
中に入ると片桐さんが高橋さんと話している。
こちらを向くと、私の頭を越して大輔くんに笑顔で手を振る。
私と目が合うと、小さく会釈をされた。
少し緊張してしまった。
これから、大丈夫だろうか…。