都会の光-14
「何ですか?」
「今の俺の最新作の試作品。よかったら貰って。俺からの誕生日プレゼント。多分今日の服にも合うと思うよ。」
「いや、そんな、悪いです!」
「いいのいいの。試作品で悪いけど。折角の旅行なのに連れ回して申し訳ない。」
高橋さんが控えめに笑う。
その顔をみるとやっぱり断れない。
「すみません、じゃあありがたくいただきます。」
「ありがとうね。じゃあ出発するね。」
高橋さんは笑って車を出発させた。
高橋さんに許可を取り、その場で包みをあけると、中には綺麗なワンピースとそれに合うように作られたカーディガン、可愛いマフラーが入ってた。
どれも好みで、本当に嬉しかった。
高橋さんにお礼を言う。
でも本当に申し訳ない気がする。
何かお返しをと考えていたら、高橋さんから一つ提案された。
「来週、本当に福岡で仕事だからさ。その時夜一緒にどうかな?」
もちろん、嫌と言うはずもなく。
「それでいいんですか?私は全然大丈夫ですが、何だか非常に申し訳ないんですけど…」
私が言うと、高橋さんが笑った。
「じゃあ、俺の携帯にアドレスと電話番号送っておいて。そんな大切な情報くれたらその服以上のものだから。」
「気にしてますね。すみません。ちゃんと送っておきます!」
名前、電話番号、アドレスの入ったメールを作り、送信した。
すぐに高橋さんの携帯が鳴り、高橋さんが笑って言った。
「負けず嫌いだね。ありがとう。ちゃんと来週連絡させていただきます。」
高橋さんの事務所に着くと、片桐さんの車も止まっていると高橋さんが教えてくれた。
待ち合わせはそこから5分くらい歩いたところでしているとのこと。
高橋さんと一緒にそこまで向かう。
いただいた荷物は高橋さんが持ってくれたし、高橋さんも私のペースに合わせて歩いてれてるのがわかる。
待ち合わせ場所までは車も人通りも多く、街路樹にはイルミネーションが施されている。
通りにあるお店もクリスマス仕様でどこも賑わっている。
大輔くんと片桐さんも色々話しながら、昔を思い出したりしたのかなって考えてしまう。
その時、いきなりおでこに冷たい何かが当った。
「たっ高橋さん!」
高橋さんが笑いながら指で私のおでこを押している。