都会の光-13
車の中は高橋さんのイメージぴったりの爽やかな香りがした。
高橋さんの運転はとってもスムーズ。
音楽も私が好きな曲が流れていたし、会話にも困らなかった。
助手席にも大分慣れてきた。
今日会ったばかりなのに、こんな行動でいいのだろうか。
そう思う自分もいるけど、でもそれ以上に高橋さんはホントに良い人だと思った。
テレビで見るよりずっと柔らかい雰囲気の人。
だから最初より警戒心は解けたし、安心してついていけると思った。
高橋さんは危険な人ではない。
ただ私の勘だけど、間違いないと思う。
さっき携帯を見ると、大輔くんからメールが入ってた。
"また後で、ごめんな。"
申し訳ないのはこっちなのにと思いながらも、今2人の邪魔をするのも悪い気がしてメールは返せなかった。
車で移動している途中、大輔くんと合流することはわかっていた。
ただ、東京のどこに向かっているのか、それはわからなかった。
高橋さんについてきてと言われて、ついてきたけど。
さすがにちゃんと聞いておいた方がいい気がする。
「高橋さん。」
「ん、何?どうした?」
「今東京のどこに向かってるんですか?」
「事務所。そこの近くで里見くんと合流するから。俺も荷物とか書類とか戻さなくちゃいけないからさ。」
「そうですか。お忙しいのにすみません。」
「いやいや、勝手にふりまわしてごめんね。あともう一ヶ所寄りたいんだけど、事務所に行くまでの通り道だから時間は取らないから。ちょっと自宅に荷物取りに行ってもいいかな?」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
初対面の人の隣に乗ってるんだけど、なんとなくそんな気がしない。
それ位くつろげてる。
高橋さんと話したり、のんびり外の景色見てたり。
高橋さんも鼻歌歌ってる。
どのくらいかかるかわからなかったけど、県をまたぐから結構かかると思っていたけど、意外とあっという間に到着した。
高橋さんのお家は外観からしてすごいところだった。
さすがデザイナーさん。
大人しく車で待っていると、10分くらいで私服に着替えた高橋さんが荷物を持って出てきた。
「ゆりちゃん、ごめんね。お待たせしました。どっかよりたい所とかない?」
「いえ、大丈夫です。ちゃっかり乗せてもらって、本当にありがとうございます。」
「じゃあ、ぼちぼちむかいますかね。ゆりちゃん、手出して。」
高橋さんに言われ、手を出す。
高橋さんがニヤリと笑って一つの袋を出す。