全一章-12
「三奈子さん、車椅子のまま入れるようにトイレを改造しようと思うんですが」
ある日ご主人から相談されました。
「改造なんて必要ありませんわ。それが常態化することは、舞衣ちゃんに却って惨めな思いをさせてしまいますよ」
「しかし、三奈子さんの細腕で、いつも舞衣の身体を抱き上げるのを見ちゃおれませんよ」
「ああ、私のことなんか考えないでくださいな。これでも介護のお仕事をしていたんですよ。力持ちなんですから、<いいえ、舞衣ちゃんをダッコしていたいのよ・・・>」
自分の恋情が、弥生さんに気付かれてしまうのではないかと思うほど溢れかけていました。ですから、殊更に介護士らしく、家の中がバリアフリーに改造されることは、舞衣ちゃんにこのままの状態が続くのだと誤解を与えることになるんです。例え簡単な廊下の手摺でも、若い舞衣ちゃんにとっては屈辱でしかないんですよ、と説得しました。<手摺を付けるくらいなら、私が支えます>とも言えず、でも実のところは、近い内に舞衣ちゃんが歩けるようになるのはとっくに分かっておりましたから、今の内に、娘に対する全ての憐憫じみた気遣いを封じておきたかったのも事実ですけれど。
この頃は弥生さんも、私たちの食事が終わるまで3人でおしゃべりをしていくようになりました。その分、舞衣ちゃんとの二人きりの時間は少なくなりましたが、私にとっては、自分ではコントロールできなくなっていた欲情が、弥生さんによって静められる心地がして、心のどこかにホッとしている部分がありました。
秋も深まってきたある夜、舞衣ちゃんが「三奈子さん・・・お姉ちゃん・・・寒いよ」と言ったのです。「お姉ちゃん・・・!」私は飛び起きました。
私は舞衣ちゃんのベッドに入り、舞衣ちゃんの背中に手を回して抱きしめていると、少し暖まったのか寝息を立て始めました。私は幸福感の大きさに目が冴えてしまい、一晩中舞衣ちゃんのお腹をさすっていました。
そんな日が度々あって、早朝に起きて着替えていると、舞衣ちゃんも目を覚ましたようでした。
「お姉ちゃん・・・」
「なあに? オシッコ?」
「違うよ。お姉ちゃんの裸、綺麗ね」
「あら、見てたの? 舞衣には適わないわよ」
「こっち向いて」
「・・・・・・」
「お姉ちゃんて、細いのに、オッパイ大きいんだね」
「大きくなんかないよ、せいぜいBだもん」
「細いから大きく見えるの? でも、綺麗な形・・・舞衣もお姉ちゃんみたくなればいいけどなあ」
「どうしたの? 今朝、変だよ」
「お姉ちゃん・・・」
「なあに?」
「舞衣のココ・・・変なの。ヌルヌルする・・・」
「変ね・・・生理はまだの筈だけどなあ。見せてごらん」
舞衣のパジャマをたくし上げ、足を開いて覗き込み、私は目眩がしました。舞衣のソコは濡れていて、閉じた花びらの合わせ目から、まだ透明に光るツユの玉が膨れあがってくるのです。
「・・・・・・」
「お姉ちゃん・・・」
「・・・・・・」
「お姉ちゃん、見てないで舞衣の拭いてくれないの?」
また目眩がしました。舞衣ちゃんが、私を誘惑する小悪魔に見えました。
<負けてはいけない>と自分に必死で言い聞かし、
「オシッコじゃないからいいじゃない。パンティー履いておく?」
「でも、ヌルヌルするからイヤだもん」
「そう・・・じゃあ拭いてあげる」
ティッシュを取ってソッと花弁を拭き、何事もなかったようにパジャマを降ろしました。私は早朝から、腰が立たないほどの疼きに耐えながらベッドメークをしていると、
「お姉ちゃん・・・」
「今度はなあに?」
「舞衣、寒いよ。もう少し眠りたいから・・・この間みたく舞衣を抱いてて」
「いいよ」
舞衣のベッドへ入り背中へ手を回すと、舞衣が私のオッパイにしがみついてきました。
「あら、赤ちゃんみたい」
私は舞衣を抱きしめました。
「お姉ちゃん・・・」
「さっきからどうしたの? お姉ちゃん、お姉ちゃんて・・・」
「お姉ちゃんの、触っていい?」
「えッ・・・ダメよ、ダメよ」