第二回「楓、散る」-4
二人はしばらくの間、熱い情事の余韻に浸った後、大泉はヨロヨロと肥えた体躯を立ち上げた。
夢の儀式の終焉を迎えた時、大泉は楓の動きを感じ、その祭壇に眼をやった。
楓は潤んだ瞳を大泉に送り、まるで大泉の肉体を惜しむような表情を湛えながら、深々と頭を垂れた。
「おありがとう、ございました…」
「人の世と心の穢れを祓いたる御神霊に捧げ奉らん。曰く、俗物の汚れを拭いたるに雑布小巾を要するが如く、曰く、俗人の汚物を受けたるに厠便器を要するが如く、我等畏み敬う御神霊の清き御祓いに、俗物の犠を要するもの也。その犠、これ即ち、生口之血肉たる神婢畜妾也。謹みて御霊をお慰み致し奉るぅ～」
＜第二回 終＞