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淫欲教団
【鬼畜 官能小説】

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第一回「鬼畜の祭壇」-1

 蒸し暑い真夏の夜、人里離れた無骨なコンクリート建築の中で、その秘儀は始まった。
 その集団が「奥御殿」と呼ぶその建築物の中には、五、六人の白装束の男たちが祭壇の前を固め、その手前には一人のスーツ姿の男が胡座をかいて座っている。白装束の中心の男は、低く野太い声で何やら祝詞らしきものを唱えている。
 「…曰く、俗物の汚れを拭いたるに雑布小巾を要するが如く、曰く、俗人の汚物を受けたるに厠便器を要するが如く…」
 祭壇に並ぶ大小の和蝋燭だけが、男たちの呼吸と熱気に翻弄されながら、妖しくぬらぬらと空間を照らしている。その妖しくも艶かしい灯明は、すでに上気し始めた白装束とスーツの顔面を淡く照らす。その表情は自らの汚辱に塗れた精神を滲み出すが如く、鬼畜の風貌を現し、鬼畜たちの肉体は、その堪え切れない欲情の怒張を内に潜めていた。
 「…我等畏み敬う御神霊の清き御祓いに、俗物の犠を要するもの也。その犠、これ即ち、生口之血肉…」
 「ドンッ…ドンッ…」下半身に鈍く響く大太鼓の音が、これから起こる狂喜の儀式を興奮をさらに高める。
 「ここに、衆議院議員、大泉市郎、謹みて神婢一頭を捧げ奉り、御神霊を慰み致し、以って穢罪浄祓を願い奉らぁーん…」
 「ドンッ、ドンッ…」その怪しげな祝詞の結びを待っていたかのように、再び大太鼓が打ち鳴らされた。男たちの局部から脊髄を経て、その振動が脳髄まで響く。その鬼畜たちの鼓動が、太鼓の響きとシンクロしながら、淫らな血流を股間にいきり立つ海綿体に送り込む。
 「ハァッ、ウフゥゥ」スーツの御仁は、野太く汚れた吐息を漏らしながら、薄暗い祭壇の中央を凝視する。太鼓の鼓動が続く中、白装束の4人が祭壇の奥、御簾の中へと潜り込んでいく…
 「神婢(かみのはしため)ぇ…楓之畜妾(かえでのかこいめ)ぇ…謹みて御霊をお慰み致し奉るぅ〜」
 非道の司祭者が一段と高い声で、秘儀の執行を宣言すると、奥の御簾がスルスルと上がり、ガタンと材木が落ちる音が響いた。
 「せぇ〜のっ!」4人の白装束が気合をそろえると、井桁に組まれた図太い角材が立ち上げられた。その角材の直線の合間に、白く柔らかな曲線を描く物体が組み付けられている…その物体の表面を、外道どもの汚れた呼気に操られた灯明が舐めまわすように照らし上げ、ジットリとした熱気と湿気が絡み付き、しっとりと艶やかに淡い光を放つ。
 怒号の如く響く太鼓の音が、それらの光と熱をまとったか弱い曲線を弄るように打ち付ける。
 「アウッ、ウファ…」その物体が、微かな吐息を放出し、ピクン…と震えた。

 「せいれい…」
 「“せいれいじょうふつきょうかい”と読みます。」
 白い門柱に掛かる巨大な表札に書かれた黒々とした文字をオドオドと読む女に、ダークスーツの男が後を追うように優しく読み聞かせた。女は柔和な笑顔を浮かべながら、男の顔を見上げ、男も柔らかな笑顔で見返した。
 「私たちの教団は、あらゆる悩みや苦しみを乗り越えるための方法を広めようという教えなんです。ですから、宗教…というよりは…まあ、宗教法人ではあるんですけど、一種の“悩み相談所”みたいに気軽に考えてもらえればいいですよ。」
 30代半ばと見られる男は、小奇麗に整えられた髪と優男風の表情から、女の緊張の糸を揉みほぐした。女は32、3歳であろうか、丸みを帯びた顔は可愛らしく傾いたが、その眼には、寂しさと疲れの念を湛えていた。
 「さあ、こちらへ…」男は、やさしくも力強く、女の腰を抱き、木造の厳めしい建屋へと、その柔らかな肉体を誘う。女は、見た目と違い、逞しく硬い男の身体を感じ、声にならない吐息と共に、スッっと、全身の緊張が引く感覚を得た…コクリと頷くと、女は男に身を任せるように、威厳に満ちた空間へと吸い込まれていった。

 「貴女のご相談について、大まかには、こちらの加藤より伺ってはおりますが…」正面の初老の男は、丁寧に女への挨拶をした後、語り始めた。
 女は、20畳敷の広間に通され、白い座布団の上にかしこまって座っている。その左には、先ほどのダークスーツの男「加藤」が昼下がりの柔らかな日の光を背に、静かな笑みを女へ送っている。
 「その…青木さんは、ご主人との関係について…お悩みになっておられるとか…」
 「ええ…夫との関係が上手く行かなくって…誰にも相談することもできずに…」
 女は、下を向き、モジモジしながら、言葉の合間に苦悶の表情をちらつかせる。3人の広い空間は沈黙に包まれた。
 「分かりますよ。さぞ、お辛かったんでしょうね…お一人でずっと悩んで悩んで…大変だったでしょ?」
 地味ながら高級そうなスーツを着た初老の男は、暖かな視線を送りながら、女に優しく語りかけた。
 「…青木さん、ご主人に浮気されたり、殴られたり…流産されたお辛い時にお金も入れてもらえず…」
 加藤は、女の肩にそっと手をやりながら、初老の男に語りかけた。女は、加藤の手のぬくもりと、初老の優しい視線を受けた途端、今まで自身の平常を必死に維持してきた脆弱な理性を崩壊させ、全身の神経回路に充満していた屈辱の感情が一気に放出された。
 「ウッ…ウウゥゥゥ…」女は両手で顔を覆い、狂ったように嗚咽した。その指の合間から、皺をひくつかせた眉間が覗く…
 「青木さん…」加藤は背後からそっと女の両肩を抱き、初老の男は、女の太腿に手をやりながら、その禿げ上がった額を女のそれと合わせた。
 「辛かったな。大変だったな。一人だけで頑張ってきたんだよな。頑張ったな。…今まで助けてやれずに済まなかったっ!」
 初老の男は、それまでの温和な表情を一変させ、振るえながら悲哀の念を表した。いつの間にか、背後の加藤も、女のか細い背中に額を当て、鼻水をすすっている。女は、2人の男の落涙を受け、火がついたように慟哭した。
 「アアアアっ…ウウウウ…」女は、正面の初老の身体にすがりつき、親の情愛を求める子供の如く、狂い泣きした。


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