昔のオトコ-9
「んっ……あぁっ……か……一輝っ……」
「……どうするの?彼氏に怒られる……?」
優しい声とは裏腹に、指先は悪魔のような悪戯をやめようとしない。
弄られている部分から込み上げてくる狂おしいほどの高まりに、何度も腰がひくついて吐息が漏れる。
「……ああっ……ひっ……うぅんっ……」
「この前、人事部の前で会った時から……ずっとその声が聞きたかったよ……」
一瞬だけ指が離れたと思ったら、クロッチ部分に接しているパンストを軽く引っ張られ、爪でビリッと破かれてしまった。
「……ちょ……ちょっと……何するの……」
「祐希が悪いんだろ……あんないやらしい声で鳴くから……」
一輝は私の片足を持ち上げ、体勢をたて直して破れた穴に指を入れてくる。
さっきまでとは反対に、少し乱暴な手つきでクロッチ部分を脇へずらして、一輝の長い指が私のぬるついたラビアを捏ね回してきた。
「はぁっ……あっ……やぁ………っ」
恥ずかしい格好で恥ずかしい部分を撫でられる快感で、意識が飛びそうになる。
「……祐希のココ……すっごいことになってる……」
「ハッ……あぁん……や……やめてっ……私……」
「ここに……いつもどんなヤツのをくわえ込んでるの?」
私がでっち上げた架空の恋人に嫉妬するように、一輝が濡れたクレヴァスに強引に中指をめり込ませる。
「俺も……挿れていい?……だろ?」
呻くような声でそう言いながら、いきなり奥のほうまで深く挿れてきた。
「あっ……うぅっ……待って……」
「……待つって……何を?」
不敵に笑いながらギチギチと掻き回すように指を動かされ、ナカを広げられる。
指が激しく動くたびに、ストッキングの内腿に伝線が走るのがわかった。
「あっ!あぁっ……ハァッ……ハァッ……」
「……前より……キツくなってんな……」
フッと意味深な笑みを浮かべる一輝。
「……今の男より俺のほうがよかったろ?」
窮屈な膣壁を破壊しようとするかのように、指を二本に増やされた。
「あっ……う……ふぅっ……」
どっちがイイもなにも、あれ以来私にはずっと彼氏なんていなかったのだ。
恋から逃げてきたわけではないけれど、「元・北原一輝の女」というイメージが、色んな意味で私を恋愛から遠ざけている。
「もの足りなくて疼いてんじゃないのか?」
二本の指は挿れたまま、一輝の親指が敏感な突起をまさぐる。
「……そんなっ……んっ……こと……あっああっ……」
記憶をたどるように、私自身でさえ忘れていた快楽のスイッチを一つづつ入れていく一輝の愛撫。
7年たっても感じる場所は何一つ変わっていないことを思い知らされる。
「あっ……はぁっ……ねぇっ……私……もうっ……あっ……あぁっ……」
身体のごく一部だけしか触れられていないのに、私はもう達してしまいそうになっていた。
「……欲しくなっちゃった?……」
一輝は意地の悪い笑みを浮かべながら私のナカからゆっくりと指を引き抜くと、自らのスラックスのファスナーに手をかけた。