先輩と-1
「怖いのか?」
ベッドの上で仰向けになる大地へと、義之はその身を覆い被せてきながら問い掛けてきた。
「……いえ、大丈夫です」
大地はそう答えた。しかし自然と緊張で身体は強張ってきてしまう。
先輩である義之の部屋で、互いに一糸纏わぬ姿となって交わるベッドの中。義之の身体が密着してき、その体温を肌に感じながら大地の胸の鼓動はいっそう高鳴ってきてしまう。
「俺に身を委ねろ」
大地の耳元で、義之がそう静かに囁く。
無言のまま、大地はぎこちなく頷いた。
すると義之は、そんな大地の胸元へと顔を埋めてくる。
義之の唇が、大地の鎖骨の辺りへと重ねられた。それだけで、ゾクゾクと震える様な感覚が大地の中を一気に駆け巡る。
やがて突き出された舌先が、首筋へ向けゆっくりと大地の肌の上を滑っていく。
「あっ……んぅ……」
堪らず、大地は身を捩じらせた。
その間に、義之の右手が大地の下半身へと伸ばされる。
しだいに荒くなっていく大地の吐息。
義之の手で弄られ、少年のそれは瞬く間に男の欲望を剥き出しにさせ始める。
「せ、先輩……あぁ……」
「さっきまで緊張しまくってたくせに、もう堪んなくなってんのか?」
からかう様に、義之は言ってきた。
「だって……先輩が……」
居た堪れない羞恥心に顔を真っ赤にさせながら、大地は義之の視線から逃げる様に顔を背けた。
フフンっと、義之が鼻で笑う。
「俺のせい?」
徐々に欲望を漲らせていく幹をいっそう活発に刺激していきながら、義之は大地の肌へ濃厚な愛撫を繰り広げていく。
「んっ……はぁ……!」
沸き起こる性感に、大地は何度も身を震わせた。部屋に響く少年の吐息と喘ぎは、欲望の昂りに比例してその淫靡さを増していく。
「お前ってさ、流されやすいよな」
ポツリと、呟く様に義之は言ってきた。
「自分でも……情けなく思える時がありますよ……」
大地はそんな義之へ、どこか恨めし気に答える。
義之との出会いで、大地はその事を十分過ぎるくらい痛感していた。まさか男からの求めにその身を許し、挙句には悦楽に耽ていく己の今の姿。中学生になったら彼女を作るなどと無邪気に言っていたかつての自分が、この光景を見たら一体どんな顔をするだろうか。
大地の中でそんな思いがフッと過るも、義之を前にして余計な考えはすぐに消えていった。