終局-5
彼女たちの乗る船が島から十分離れたころ、C国の爆撃機が島を爆撃し始めた。
島全体が、赤い炎につつまれてる。由美は船上で赤く染まってる島をぼんやり眺めてる。
「島の形まで変わってしまってる」
「工藤君、ここにいたのか」中年の男が、話しかけてきた。
「あっ、部長さん」彼は、今回、由美に仕事を依頼してきた国の代理人だった。
「今度、正式に超常現象対策部が、設立することになったよ」
「へー」
「君にも正式に参加してもらいたいと思ってる」
「お給料しだいかな。だって、こんなろくでもない事件ばかりだったら、割に合わないもの」
「由美ちゃーん」船内から、由美を呼ぶ声が、聞こえてきた。
「あ、今日子さん、リサさん」今日子とリサが、甲板に上がってきた。
「ここにいたんだ。さっき携帯が使えるようになったの。で、リサが早速、彼に連絡したの」
「うん。うん。それで?」
「彼に妊娠したと伝えたの」
「で? で? 彼は何って言ってたの?」
「結婚しようって言ってた」
「おーーーーーっ!おめでとうございます。リサさん」
「おめでとう、リサ」由美と今日子は、リサを祝福する。
「ありがとう」
「ろくでもない事件だったけど、1つだけいいことがあった」
由美はちょっとだけうれしくなった。
「私は、いっぱい、いいことがあった。」
リサは、すごく、うれしそうな笑顔を見せた。
「いっぱいなの?」
由美は不思議そうに思った。
「いっぱい。赤ちゃんができたことでしょ。彼が結婚しようって言ってくれたこと。今日子と由美ちゃんと友達になれたことだよ」
「そっか。私もそうだった」
「私もよ」今日子と由美も同じ気持ちだった。
やがて船は、日本本土に到着した。