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<12月>
【OL/お姉さん 官能小説】

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大晦日-2

さすがに一緒に戻るのはまずいと思い、チカを見送ってからもう一本吸って営業所に戻る。ちょうど航太が客先から呼ばれて外出するところで残ったのはオレとチカの2人。だからといってイチャイチャなんてできるわけもなく、なるべく早くチカのサポートに回れるよう自分の仕事を片付ける。チカも自分の業務を少しでも片付けようと無言でキーボードを叩いたりマウスを動かしている。そういえば忘年会の日も2人で黙々と仕事をしていたけれどあの時とは雰囲気が明らかに異なる。

「鈴木、オレ終わったから手伝うよ」

「ありがとうございます。じゃぁ、この束入力していただいてもいいですか?」

「あぁ」

再び訪れる心地よい沈黙。おかげでお互い仕事もはかどり、夕方みんなが帰ってくる頃にはチカの業務もほぼ終了してみんな一斉に帰宅できることになった。

「じゃぁみんなでメシでも食って帰るか」

所長の一言に若干凍りつく。まぁ断るわけにもいかず、結局みんなで食事して帰る。忘年会の時同様、チカを送り届ける役目を仰せつかった。最寄駅で電車を降りると自然と手がチカの手を掴んでいた。チカがオレの顔を見上げて微笑む。

「ウチで飲み直しますか?」

「おいおい、明日も飲み会なんだろ?」

「そうなんですけど…しゅーちゃんと2人で飲みたかったなって思って。仕事も手伝っていただいたのに」

「まぁ仕方ないだろ。でも堂々と一緒に帰ってこれたしな。大晦日さ、チカの家で鍋食べてから初詣行くか?あんまりメジャーなところだと混んでるだろうから、この近くで」

「うん!」

「そしたらウチに帰ってきておせち食べよう。オレ、作るから」

「人生初おせち、楽しみにしてます。じゃぁ、31日に」

「あぁ。明日飲み過ぎるなよ」

「はい、じゃぁおやすみなさい」

「おやすみ」

ドアを閉める直前、外で見守るオレに手を振ってみせる。つられてオレも小さく手を振る。今までこんなことしたことなかったな。チカと付き合い始めて、知らなかったチカを知るのと同じように知らなかった自分を知っていく。

*****************

29、30日と大掃除をしたり買出しにいったり別々に過ごす。時々メールのやりとりがくすぐったい。そして大晦日の夜、チカの部屋にお邪魔するとすでに鍋の用意は出来上がっていた。昆布だしベースの味噌味で、隠し味はバターなんだとか。実家から送られてきたという鮭は切り身で楽しむだけでなく、チカお手製の鮭つみれも用意されていた。じゃがいもが入っているのには驚いたがお世辞抜きで美味かった。タラバガニの足は塩ゆで。こたつに入って2人で鍋をつつきながら伝統的な歌番組を見る。時々それに合わせてチカが歌う。歌うのは好きらしく、うまいなぁと思っていたら今度カラオケに行く約束をさせられた。

「年越しそばも考えたんですけど、鍋だから締めはうどんか雑炊かなぁって」

「あー、うどんも捨てがたいけど雑炊もうまそうだなぁ」

「じゃぁ両方やっちゃいます?最初うどんでラスト雑炊!」

「食いすぎだろ。まぁいっか」

狭くて散らかっているとチカから聞いていたが、そんなことはなく思ったよりもシンプルな部屋。もっとパステルカラーで溢れてるかと思ったがシックに統一されている。居心地のいい部屋だ。チカが鍋のシメを用意してくれている間思わずキョロキョロしてしまう。

「何か気になるものでもありますか?」

「いや、エロビデオでも隠してるかと思ったんだけど」

「ないですよ、そんなものー。うどん、入れますよー?」

手際良く麺を鍋に入れていく。

「チカ料理上手じゃん。意外にちゃんとやってるんだな」

「あ、意外って失礼な。でもしゅーちゃんのほうが手際良いですよね。私、祖母が亡くなってから義母が来るまでは家事やってました」

「お父さん再婚されたんだ」

「はい、でも別に義母と仲悪いとかじゃないですよ?この鍋も彼女に教わったんです。鮭とカニも彼女が送ってくれたんですよ」

「帰ってこいとか言われない?」

「うん。彼氏連れて帰っておいでーって。さっきお礼の電話した時に今日彼氏と一緒に食べるって言ったら喜んでくれました」

「そっか。じゃぁ近いうちに挨拶にいかなきゃな」

「あったかくなってからにしましょ?今行くと確実に雪かき要員にされますよ?」

チカが笑う。結局うどんひと玉を半分こし、雑炊も半分こして鍋を堪能した。キッチンが狭くて一緒に立てないからとチカが片付けをする様を視界のはしに捉えながらまったりする。こんな年越しもいいな。ここ何年もクリスマスも大晦日も一人だったから。片付け終わったチカが自分の隣に戻ってきたところを抱きすくめる。すっぽりと自分の腕の中におさまってしまう小さな愛しいひと。

「しゅーちゃん?」

「今年最後のエッチしよっか?」

チカの耳元で囁くと真っ赤になる。

「初詣行くんじゃなかったの?」

「まだ早いよ」

「そうだけど…」

「イヤ?」

「…イヤじゃないけど…んあっ」

モジモジするチカの首筋に唇を這わすとチカが驚きつつも切ない声をあげる。

「けどなに?」

「…初詣も行きたいから…今したらきっと…」

「年越ししてるのも気づかないほど夢中になっちゃいそう?」

こくん、と頷くチカを優しく抱きしめる。

「じゃぁ、こうしてよっか」

「いいの?」

「あぁ。年が明けたらたっぷり我が家で可愛がってあげますから」

「んもうっ。でもちょっと楽しみ」

もぞもぞと動いたチカがキスをくれる。

「チカちゃんてばエッチ」

「しゅーちゃんには負けます。でも…」

「でも?」

「今年は異動があったりいろんなことあったけど、こうして最後の日にしゅーちゃんと一緒にいれてよかった」

「来年もさ。その次もずっと一緒にいような」

「はい」

- the end


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