栄子 前編-5
俺の意識は、栄子の腕の内側にあるふっくらとした胸の膨らみに集中していた。
栄子はどんな乳房をしているのだろう。
乳首はどんな形でどんな色なのだろう。
その部分を弄ったり舐めたりしたら、栄子もあの時の麻理みたいにいやらしい喘ぎ声を出して悶えるのだろうか。
俺は栄子を抱いている腕を、少しずつ腰の方へとずらしていく。
栄子は真っ赤になってうつむいていたが、抵抗する様子はなかった。
「……小林……」
俺の手のひらがウェストのくびれに到達した時、栄子がビクリと身体を痙攣させた。
「………ぁ…っ……」
短いため息のような吐息が漏れる。
俺は思いきって、右の手のひらを栄子の乳房の上に滑りこませた。
「……あ……っ……あのっ……」
栄子が何かモゴモゴと言いかけたが、俺はそれを無視して左の乳房にも手を這わせる。
両手の指先がふにゃりと柔らかい肉丘にめり込んだ瞬間、俺の頭の中で何か硝子細工のようなものが壊れる音がした。
「……逃げんな……」
俺は悪魔のような言葉を囁きながら、栄子の小振りな乳房をゆっくりと撫で回した。
「……やっ……川瀬くん……やめて……」
栄子がここで初めてハッキリと抵抗の言葉を口にしたが、俺はもう聞く耳を持たなかった。
「……逃げんなって……」
狂犬のように荒い息を吐きながら、俺はTシャツの上から栄子の乳首を探り当てる。
「俺が……イイこと……教えてやるよ」
栄子は発育がいいわりにブラをまだつけていなかったから、その敏感な突起はすぐに見つかった。
「……あっ……うぅん……っ……」
俺の指が突起を掠めた瞬間、栄子がなんともいえない甘い声を漏らした。
「……気持ちイイだろ……?」
俺はその反応を確かめるために、両方の乳首を同時に指先でこすってやった。
「……あっ……うぅん……やめ……やめてっ……」
言葉とは裏腹に、手をだらりと横に下ろしたまま抵抗しない栄子。
「やめて」と言いながら、更なる刺激を期待していることは明らかだった。
「……あっ……あぁっ……やぁっ……いやぁっ……」
その時、俺の脳裏にあの神社での出来事がまざまざとよみがえってきた。
始めは抵抗していたはずの麻理が、はっきりと快楽の言葉を口にし、自ら男のぺニスを頬張りながらイき悶えていたあの姿―――。
『麻理も―――所詮はただのメスだな』
あの時男が吐き捨てた言葉が頭の中に響き渡る。
そうだ、ただのメスだ―――。
女は、ただのメスなんだ―――。
俺は乱暴な手つきで栄子のTシャツを捲りあげると、剥き出しになった栄子の乳首を直接指先で弄り回した。
「……ひっ……はぁっ……あっ……あぁっ……川……瀬くん……ダメぇ……っ」
栄子は、身体を退けぞらせ、俺に身体を預けるように後ろに倒れてきた。
俺はすかさず栄子をじゅうたんに押し倒して、その上に馬乗りになった。
やり方もわからないまま、ぎこちなく栄子の唇にむしゃぶりつく。
あの時男たちが麻理にしていたように、俺は舌を栄子の口の中に捩じ込んで、せわしなく動かした。
気持ちイイというよりも、自分のしている行為そのものに興奮して、俺はもう射精してしまいそうになっていた。
苦しそうに顔を歪める栄子。
その表情があの夜の麻理とダブって、俺をますます興奮させる。
「……ハァッ…ハァッ……」
俺はあらわになっている栄子の乳首に、無我夢中でむしゃぶりついた。
「ああっ!いやっ!……ダメっ……!や……あ……ぁん……」
しょっぱい汗のような味と、ゴム風船の先端をくわえた時のような弾力と伸縮性。
初めて味わう女の乳首の舌触りに、俺は我を忘れて没頭した。
仰向けになったらほとんど平らに流れてしまう栄子の胸は、中心部に硬いしこりのような部分があって、麻理がされていたみたいに揉むことは出来そうにない。
しかしその先端の小さな突起は、俺の舌の上ではっきりと充血して硬さを増してくるのがわかった。