別離の間〜Side:Z〜 -8
「知ってたか?ファンのラインハルト王って同性愛者らしいぜ」
「ホントかよ!?跡継ぎはどうなるんだ?」
「だから、弟のギルフォード様の結婚式でこんなに盛り上がってんだよ」
「ああ!って事はギルフォード様の子供が跡継ぎになるのか!!」
(へぇ〜…ライン兄ちゃんカミングアウトしたのか……)
アースは肉を噛みながら噂話に耳を傾ける。
「しかも、今日ファン主催のイベント、10人抜きバトルで優勝したら花嫁の口付けが貰えるらしいぜ」
ゴバッ
アースは口に含んでいたものを盛大に吹き出し、それを浴びたアビィは物凄く嫌な顔をする。
「そ…その話……マジ?」
アースは慌てて噂話をしていた男達に加わった。
「おぉ、マジマジ!!」
男達はたいした疑問ももたずにアースの質問に答える。
「つうか花嫁って誰?」
一番気になる所。
「それがなあ〜今日のそのイベントで初めて姿を見せるらしいよ」
一般人はまだ誰も知らないらしい、と男達は話す。
(招待客も知らねぇっつうの)
ここまで難くなに隠すと言う事はやっぱりキャラなのか……。
「あんた出てみたらどうだい?」
1人の男がアースの肩を叩いて言う。
「俺?」
「ああ、あんた強そうじゃん?俺らあんたに賭けるぜ?」
なるほど、賭博も有りなわけか……。
「よし。花嫁見るついでに出てみっか!!あんたら全額賭けていいぜ?」
男達はそうこなくっちゃ、と手を打ち合わせてアースを会場に案内した。
会場は城の中庭。
「すっげぇ人だなぁ……」
あまりの人だかりに肝心の主役席が見えない。
「おーい!!アース!こっちだ!!受付!!」
すっかり打ち解けた男がアースを呼ぶ。
アースが男の所に行くと、男はアースの肩を抱いて受付の女性に話しかけた。
「こいつ!こいつが出るんだ!!」
受付の女性はアースを見るなり、あんぐりと口を開けた。
「ア……!?」
「ミ……?!」
そこにいたのはファンの巫女、ベルリアの婚約者であるミヤだった。