PiPi's World 投稿小説
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No12-2009/11/07 03:04
男/フロムポスト
CA38-kJEqyDBA
次は「幸せな気分になる」でお願いします。
No13-2009/11/07 13:44
男/髭
SN3K-L19wGSiz
幸せな気分になる。当然だ。彼が隣にいるのだから。
正直、漫画の内容なんか頭に入ってない。入るはずもない。高揚と鎮静を繰り返す私の心に、そんな余裕は微塵も無いのだ。
「次のページ」って言ってた私の声は上ずってなかったかな、なんて事を考えてたら、彼が「まだ?」って言った。
「まだ読んでるの?」

私と彼の距離。それは私が考えていたよりずっと親密で暖かかった。私が張り切って化粧したりだとか、可愛い服を選んだりしてたあの頃を思い出そうとして可笑しくなる。そんなことしなくっても、彼は私を見てくれてるのに。

「ねぇ、見開きのページ5分も見てて楽しい?」
彼が言う。彼の微笑む様な笑顔が、私は好きだった。
「楽しいよ。うん、スッゴい楽しい。可笑し過ぎてお腹よじれそう!!」
「僕は君を見てる方が、よっぽど可笑しいけどね」

私が全力で無理をしないこと。この全力で、って所が大事。それが私が恋人と築く関係ってやつで、それが一番幸せってやつ。
彼がおんなじ気持ちなら嬉しいな。
そんな事を思いながら、ページを見るふりして彼の顔を盗み見るのであった。


次、「盗み見る」で。
No14-2009/11/07 20:31
男/フロムポスト
CA38-kJEqyDBA
盗み見る、という事が彼女は実に下手だった。
次のページを開き、彼女は笑う。
しかしその前に彼女は必ずぼくの顔をちらりと一瞥する。
それに気付かない、という事の方が難しいように思えた。

どこかで見覚えのある外国製の
人形に似た瞳が素敵さ

ふと、ピロウズの「彼女は今日、」の一節が頭をよぎった。
「ねえ、次のページ」
と彼女が言うので、ぼくはそれに従う。
そして彼女がぼくの顔を盗み見るのに合わせて、ぼくはわざと彼女の瞳を見た。
彼女は一瞬呆けたが、何かを取り繕うように、照れくさそうに笑った。
ぼくは笑わなかった。
笑えなかったのだ。
だって「彼女は今日、」のラストは確か…。
彼女が心配している。
ねえ、どうしたの?どうしたの?
何度もそう訊く彼女をぼくは無言で抱き締めた。
腕の中に居る彼女の体温を、ぼくは確かに感じている。
その体温が感じられなくなるいつかが来る事をぼくは思った。
それは、決してしてはいけない想像で、けれど、酷く現実味のある想像で、彼女を抱き締めながら、ぼくは泣いた。
彼女の体温と、ぼくの涙。
一体どちらの方が暖かいのだろう。
No15-2009/11/07 20:32
男/フロムポスト
CA38-kJEqyDBA
次は「どちらの方が暖かいのだろう」で。
文字数が足りず、毎回2レス使って申し訳ないです。
No16-2009/11/07 21:11
男/白いフクロウ
831P-OtmwnKgP
どちらの方が暖かいのだろうか、という問いに、彼は南極と答えた。
南より北のほうが寒いというイメージなのだろうか。
「だって南のほうが暖かいじゃん」
案の定だ。
「違うの?」
「うん、違う。北極のほうが暖かい。南極のが寒い」
北極は海上で南極は陸上だ。陸と海では陸のほうが寒い。
「ふーん。ま、どうでもいいけど」
「……」
随分と身も蓋もないことを言ってくれるもんだ。
「じゃあ、問題。俺とお前、暖かいのはどっち?」
「はあ?」
なんだそれ。なぞなぞ?
「意味がわかんない」
「まあ、勘でいいから。勘で」
彼と私で、暖かいほう……。私はよく人から冷たいと言われる。自分ではそんなつもりはないのだが。
すると、彼のほうだろうか。
「君?」
「んー。正解はね……」
正解もなにもあるのだろうか。

『正解』で。
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