PiPi's World 投稿小説
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No593-05/21 17:23
男/壱世堂
PC-y9sq0VCG
【運ぶ】
ごうごうと唸りながら収集車がゴミを圧縮している。
今日こそは、と思ってまとめたゴミを見ながら、今日とてベッドの上から離れられない。
昼過ぎに目覚め、夜明けとともに眠る生活から抜け出すのは己が心持次第である安易さゆえに困難だ。
新鮮な空気と日の光は眠りを欲するものには毒でしかない。
億劫さだけが僕を窓から遠ざけている。
僕の住む安アパートには窓の向こうに隣家の窓があって、プライバシーが無い。生活が筒抜けなのだ。
見られて困るような生活をしていないのに僕はカーテンを締め切って生活しているが、風に乗って情景が運ばれてくる。
向かいの部屋にはどうやら家族が住んでいるらしい。
子供の高い声は良く響いて朝の団欒を想起する。
味噌汁と焼き魚の香りが朝餉の風景を呼び起こす。

↓へ
No592-05/21 17:21
男/壱世堂
PC-y9sq0VCG
正常に流れる一日の始まりだ。
やはり、こんな生活は良くない。
朝起きて夜寝る。これが人のあるべき姿だろう。
今日はこのまま起きて、散歩にでも行くのも良いかもしれない。
夜まで何とか起きていれば、明日は朝から一日が始まる。
そして、生活を取り戻すのだ。
まずはあの窓まで行って、カーテンを開け放って、日の光を浴びよう。
僕はずるずると布団から抜け出した。
カーテンを開けて背伸びをする。
あぁ、なんてすがすがしいんだろう。
窓の向こうの隣人に声を出さず礼を言う。
どんな家族なのだろう。きっと平和で素敵な家族なのだろう。
突如、カーテンが開く。
スーツ姿の隣人と目が合った。
明らかな不審のまなざしが向けられる。
「あ、」
窓が閉まる。カーテンも閉まる。
窓を閉めて、カーテンを閉じて、

僕は布団の中に戻った。

次は【家族】でお願いいたします。
No589-05/21 00:34
男/白い梟
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寝たふりをして少女はベッドの中で自分の心臓の鼓動を聞きながらそれを抑えようとしてある人物を待っていた。
その人物は白い髭をたくわえ赤い服を着て毎年この日のこの夜に少女のもとを訪れ少女に贈り物を残し去っていく。
少女は毎年起きているわけではなく例年は寝てしまうのだが今年は彼への御礼と彼の正体を目的に意識を保っている。
しばらく待つうちにドアが開きそのまま部屋にだれかがはいってきたことを床の軋む音となにかを引きずる音が告げた。
このまま寝たふりを続けようかそれとも起きておはなしをしようかドキドキしながら少女は迷ってひとまず息をひそめる。
部屋にはいってきた謎の人物は少女のイメージ通り巨大な袋を持ち歩いているらしくズルズルと床を擦る音が聞こえている。
そして結局緊張して寝たふりを続けている少女のベッドの前に立ったその謎の人物は手にした袋の中からなにかを取り出した。
謎の人物はそのなにかを少女の横に寝かすと今度は少女を抱きかかえて起こさないようにとゆっくり袋の中に入れて口を縛った。
なんだかおかしいなと思いながらもなぜか起き上がることが出来ずに少女は袋の中で相変わらず寝たふりをしながら運ばれていく。
No587-05/19 14:54
男/mati
SH903i-9ME4rvoW
食器の山を前に、僕の妻は『あ〜あ、どこかにこの山を片付けてくれる素敵な旦那様落ちてないかな〜』などと言い出した。僕は
A、『旦那様は落ちているものじゃないだろう』
B、『あなたの旦那って僕しかいませんが』
C、『自分でやりなさい』の3つの選択肢を得た。
……無難なところはCだが、ここは夫として言っておかなければならないことがあるのではないか?いや、しかし下手な選択をすると片付けさせられるハメに。む〜〜

悩んだ末に出た結論は




…D、寝たふり

次は【寝たふり】でお願いします。
No586-05/17 18:39
女/烏龍坊や
TS35-3V92aRW8
「問題です。あなたの服に付いている、キスマークは誰が付けたのでしょう?」それは、たぶん質問と言うと思う
「…飲み会の王様ゲームで」
「ふ〜ん」 妻の目が冷たい‥
「イヤ、マジで何もないですよ!!」
「そんな事分かってるわよ〜。あんたにそんな甲斐性なんてないもの」カラカラと笑って言う妻 …ヒドイι
「だけど、こんな紛わしいもの付けてくるのも悪いわよね〜」 不可抗力だと思うのだが
「我が家の家訓は?」
「‥‥悪いと思ったら、それ相応の事を」
にっこり笑った妻の指の先には‥何日ためたらそうなるんだ!という汚れた食器の山が・・

はじめまして('◇')ゞ お次は『食器の山』でどうでしょう?
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