[
書く|
編集|
削除|
古順]
[
戻る|
前頁|
次頁]
No49-2011/11/04 22:33
桜井(SH3J)
ちゃんと泣いてからきなよ、と言って去って行こうとする。なんて無責任な。男友達ならばそれでも済まされようが、ちがうだろ、君は私のなんなんだよ。
「かれぴ」
ぴ、じゃないし。
「なんだ、あまえんぼノンちゃんバージョンDXか?」
「そんなバージョンないもん」
「じゃあ、あまえんぼノンちゃんシリーズDX」
「……」
はらたつ、こいつ。
「うそだぴょん。ぴょんぴょん。ほーらおいでおいでー怖くなーい怖くなーいラララ怖くなーい」
すごく怖い。
でもふらふらと寄ってしまうのは、その腕におさまってしまうのは、結局私が、
「弱いよね」
さく、とナイフがささるみたい。
「君の弱さの理由に興味はない。でも君がすきだから」
だから君にちゅうはするんだ、と。
彼はナイフとキスをもっている。
私はそれに逆らえない。
No48-2011/11/03 22:27
フロムポスト(HI3G)
なんレスも使い、また、リハビリの場所として使ってしまい、申し訳ありません。ルールに違反するようであれば、削除して頂いて構いません。
維持して頂けるなら、次のワードは「ちゃんと泣いてから来いよ」でお願いします。
No47-2011/11/03 22:25
フロムポスト(HI3G)
「なぁ、瑞希」
お前、本当に? それ以上は口に出さなかった。出したらいけないような気がした。
メモ帳を紙飛行機の形に折りたたんだ。思ったより歪になったそれは海へ飛ばすと、直ぐに堕ちて、水面へ浮かんでいた。
瑞希、ごめん。君の意志、守れない。
悲しむ事しか出来ないよ。
だって隣に君が居ないんだ。
随分長い事そこで海を眺めていた。
一番星が出てき始めた頃に、ぼくは車に戻ってエンジンを点けながら、ケイタイの電話帳から松本の番号を呼び出した。
「よう、生きてたか」
松本は出るなりそう言った。
「どうにかね、今どこにいる?」
「もう来客陣は解散したよ。おれは今家にいる」
「行ってもいいか?」
「来いよ。ブラックニッカもハイネケンも買ってある」
「ありがとう。じゃあ、今から行く」
電話を切りかけた時、松本が言った。
ちゃんと泣いてから来いよ。
泣いていいんだな、そう思えた時にぼくの目から馬鹿みたいな量の涙が零れた。
No46-2011/11/03 22:13
フロムポスト(HI3G)
「もう、行くよ」
喫煙所のドアを開けて、外へ出た。松本は何も言わなかった。二本目のタバコに火を点ける音が聞こえた。もう一つの弔い、そう捉えてもいいのだろうか。
駐車場に行き、車に乗って、キーを回した。
お前は、優しいな瑞希。
ぼくはお前程優しくなれないよ。
車をしばらく飛ばした。誰も居ない場所へ、何も感じなくて良い場所へ、ただただ瑞希との思い出が無い場所へ。
気付けば海へ沈むの夕日を崖の上から眺めていた。
ガードレールを越え、崖の下を覗き込んだ。多分死ぬかな。素直にそう思った。
ポケットから瑞希の遺書を取り出した。
誰も悲しむ必要はない。その文字に震えはなかった。同じくらい、感情もなかった。
No45-2011/11/03 21:54
フロムポスト(HI3G)
「どうするつもりだ? それ」
「出来るだけ長く持っていたい。けれど」
「持って居続ける勇気が無い、か…」
松本がまだ長いタバコをもみ消した。フィルターにプリントされたタバコの銘柄が一瞬見えた。それは、偶然なのか。それとも松本なりの弔いなのか。マイルドセブンのウルトラライト。死んだ瑞希の吸っていたタバコ。
「どうすれば良いんだろうな」
答えは返ってこないと知りながら、消えていく紫煙を眺めながら尋ねた。
「苦しみを抱き続けながら、その遺書を財布に入れて一生を生きるか。瑞希さんへとでも書いて自分からの手紙を装って瑞希ちゃんと一緒に焼くか。それとも…」
お前も死ぬか? ぼくの目を見据えて、松本はただただ端的にその言葉を。
「止めないのか」
「止められねぇよ。お前、今自分がどんな顔してるか分かってねえよ」
<
戻る|
前頁|
次頁>