PiPi's World 投稿小説
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No59-2012/05/01 20:44
リンク(P04B)
>56より

いなかったらいなかったで寂しいけど、いたらいたで面倒なんだよねぇ…とお袋は笑う。つい昨日帰って行った孫、つまり俺の甥に当たるチビの事を言っているのだ。

結婚した次の年に息子を出産した姉は、電車で一時間の町に住んでいる気軽さからか、しばしば里帰りする。義兄さんが気を悪くするんじゃないの?と訊いても、姉は
「旦那の方も自由になれるって内心歓迎してんのよ」
と涼しい顔。

俺としては姉の帰りはどうでも良いが甥っ子の訪問は楽しみだ。幼稚園の年長組になった最近では口も達者になり、たまに生意気な言葉も吐くようになった。しかし、その生意気さが一層可愛らしさに拍車をかける……なんて叔父バカ丸出しの俺。

遊びに来る度、ゲームを得意気にプレイして見せたり、新聞のチラシとクレヨンを手に一緒にマンガを描けとねだったり、とにかく可愛くて仕方ない。

「あぁ〜…俺にも子供が出来たら、多分溺愛しちゃうかもな〜…」

何気なく口にした俺を見て、姉はニヤニヤしながら言った。

「ならサッサと結婚なさいよ」



Next→『結婚』でお願いします。

久々にスレを上げて頂きました。嬉しいですね。ありがとうございます(^∀^)
No58-2012/05/01 08:14
さくらい(SH3J)
あっ、小松さん、回ってきたお題が「溶けない」→「溶ける」でしたね……溶解しばりみたいになってしまった。
ごめんなさい。気をつけます。
No57-2012/04/30 23:53
小松(PC)
遂に字数制限に引っ掛かりましたw
次は「いなかった」でお願いします。
あんまり続けて書くのも…とは思いましたが、土日挟んでもしりとり参加者がいなかったのでついw

こういうのを膨らませる才能が欲しいですw

では、また。
No56-2012/04/30 23:45
小松(PC)
溶けるような暑さに、俺は一言唸った。
「暑い」
だが独身男の部屋にその言葉は虚しく吸い込まれ、静寂が嘲笑うかのように俺を包んだ。
毎日仕事漬けにされて暑さも寒さも感じる暇もなかったあの頃が懐かしく感じる。
あの頃は、休みといえば泥とか脱ぎ散らかした服みたいにぐったりするか、仕事関連の事を勉強するかで大変だったのに、今じゃ仕事も慣れて心に余裕が出来た。
そのせいか最近の休みは退屈で、どうしようも無い
部屋を見渡せば、壊れたクーラーにやつれたカーテン、傷だらけの棚が視界に入る、私服に至っては何年も買い足してないせいか古びている気がした。

いや、部屋全体が古びているのだ。

そういえば、通勤とかメシの買い出しとか、必要な事以外でめっきり出掛けていない、親や友達とも会っていないのだ。
「出掛けるか…」
俺は一人ごちながら立ち上がると、身なりを整えて財布をズボンにねじこみ、夏の日射しの中に出た所で固まった。
何処に行くのか決めて無かったのだ。
溶けそうな空気の中、どうしようかと思案する男の服装は学生の頃のまま、何一つ変わっていなかった。
No55-2012/04/27 08:14
さくらい(SH3J)

ため息はあまりにも深い意味を持たされていて、ため息自身がそのことに驚くほどでした。
こんなにも沁みて深く、こんなにもなま暖かく、まるでエスプレッソのような甘みを帯びた、わたくしは、いったい?

ため息が振り返ると、そこにはまさにため息を落としたその人が、まだしどけない姿でベッドに横たわっておりました。
官能はいまだその瞳に名残をのこしております。口元は緩み、そこになにか特別なものを受け入れたことを唇の瑞々しさが物語っております。

けれど彼女はただの独りで、そのベッドにいたのでした。

ため息はぴくりとも動けず、落とされたその場所で彼女を見つめました。
彼女の瞳から官能が滴りおちるのが見えました。なにかとても絡まりあった心と共に、水滴が彼女の頬を伝うのです。

彼女はいま、とてもしあわせで、とてもふしあわせで、満たされていて、あまりにも足りなくて、嗚呼、だからわたくしはこんなにも哀しいのだ。

ため息は自身と彼女のある場所を想い、そしてゆるりと空気に溶けたのでした。


−−−−−−
溶ける、溶けた、とかでどうぞ〜
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