PiPi's World 投稿小説
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No526-10/22 23:35
コルト(V903SH)
背が高くて大きいヒマワリ
今日も日がな一日
さんさんと輝く太陽へ
首を延ばしていました

隣でちょこんと雑草は
こじんまりと
ヒマワリの陰に隠れていました

いいなあ
そんな高くて
大きいなんて


いいことばかりじゃない
打たれ弱いし
茎が折れちゃうこともある

ぼくも
ヒマワリになりたいよ

そう?
俺は君になりたいよ



太陽がさんさんと
辺りを照らしています
雑草を覆う陰はもう
頭上には見えません


あついなあ
ヒマワリも毎日
こんな思いをしていたなんて


ヒマワリはもう
雑草の側にはいません
その役目を
果たし終えたから



あついなあ
でもがんばらなくちゃ
ぼくもいつか
日陰を作ってやるんだ



今日も一日
雑草は精一杯
背伸びをするのでした
No525-10/22 22:24
ソロ(P902i)
少し長いお話をした

今日はいつにも増して
寝付きが悪かった

あのお話して!と
せがまれるのは
これで何夜目だろうか

確かに昔話だけど
おとぎ話ほど夢はない
ありふれた男女の物語

ませた子供だと
自分の分身に苦笑い

天使を見たことはないけれど
きっと彼女に似てるのだろうと
勝手に思う

どこにでもいる男と女
互いにだけ
特別と感じて
よくあるような道筋を
運命と信じて
ここまで来た

その集大成が
寝息をたてる

いつかこのお話を
全て君に届ける時が
来たら
来たら

その時は
きっと


パパ
と呼ばれて振り向く
主演女優の手招き

どうやらまだこのお話は
完成していないようだ

明日はさらに寝付きが悪くとも

大丈夫

まだまだ続きが
君を待っているから、ね
No524-10/22 18:21
賢(P901i)
こどもはひらがなのやわらかさではなす
だから
漢字の固さで話す大人より
すこしすなおにすっきりだ

こどもはひらがなで「あい」という

それは大人の語る「愛」よりも

そっちょくで
まるっこくて
たんじゅんで
ひろびろとして
なごやかだ

それがなんだか羨ましくて
ためしに僕は
君のなまえを
ひらがなでよんでみる
No523-10/20 21:09
眸子(SH902i)
果てしなく……
徒に月日は流れ
もう……
白のマントを羽織った
冬の使者が
足跡を残しはじめたとか

ボクが
独り篭っている間に……


ボクの弱きココロは
切り捨てた
信頼関係を
無情にも

大好きだった……
とっても心配してくれて
とっても応援してくれて
背中を押してくれた
姉さん


はじめは
嫉妬に似た感情を
抱いていたけど
段々と
甘えられるようになった
お義兄さん


独りの時間を経験して
ようやく自分を赦せた時
すでに遅く


もっと早く
自分のキモチに
素直になれたら……
よかったな……
No522-10/17 13:28
孤月(TS35)
ヘッドホンにしがみついて
眠たげな目で窓の外を見る僕を
君は笑うだろうか?

勝ち取ったシートに沈み混んで
それでも小さく肩をすぼめる僕を?

溜め息をついては、いちいち立ち止まる各駅停車
心のどこかで苛ついているくせに、乗っているのは自分なのだ。

ねえ、かつては笑顔で
こんな電車を待ちわびたっけ
他愛もない日常が
今では恋しく、愛しい。

今の僕をみたら、きっと君は笑うんだろうね。

ああ 空はこんなに青いのに
風は優しく、雲は穏やかなのに

ねえ 君 笑ってくれ
未来に挑むことだってできるこの魂を
過ぎ去った日々を照らすのに消耗する僕を

やがて旋律は僕を
記憶の冥い淵へと急かす
僕は顔をあげる

見つめ返す君の顔は
ガラス窓の先を透して

そうだね そうだ
もう降りよう。
過去は戻らない
虚像には別れを告げよう。

さようなら、君。
鏡の中の僕。

最後に少し微笑ったのは
はたしてどっちの
僕だったろう。
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