PiPi's World 投稿小説
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No604-06/11 01:16
夕空(PC)
夏は始まったばかり。
ずっと心待ちにしていた季節。

うっとうしく照りつける太陽の下。
吹き出る汗が背中に流れるのを感じながら、ぼくは公園のベンチでうなだれていた。


彼女が、僕から去っていった。
たった一行のメモを残して。


頭上で鳴いている蝉の合唱は、まるで生命を謳歌しているかのように聞こえて、僕は、蝉が心底うらやましくなった。

生きるだけ生きて、あとは死ぬだけ。
もう、悔いはない。

そう、胸を張って主張しているように思えたんだ。


人生、やり直せるなら、今度こそ彼女を手放さないのに。
夏がきたら、なんて時期を待たず、さっさとプロポーズをしていればよかった。

僕の自己満足なこだわりは、結局、彼女との間に溝を作っただけだった。

残ったのは、サヨナラと書かれたメモ用紙一枚と、使うことのない婚約指輪。
そして、固まったまま動けない僕。


夏ははじまったばかり。
後悔と孤独の日々。


(「なつ」でお願いします)
No602-06/07 00:15
RIN(PC)
俺の足元にひらりと舞い落ちた紙切れ・・・いや紙切れといっては失礼か?これは封筒だろう。

梅雨の明けた暑い朝、学校の下駄箱を開けたらいきなり一枚の封筒が落ちてきた。

熱気がムンムンの男子トイレの個室でこっそり読んでみたらラブレターだった。
なんてベタな・・・
曰く『貴方のことを以前よりお慕い申しておりました。宜しければ放課後屋上まで来ていただけませんでしょうか?』だと。
達筆で書かれたラブレター・・・なんかすごい。


手紙から意気込みを感じた俺は結局放課後屋上にいた。
まだだれもいない風が通る屋上・・・さてどんな方が来ることやら?

俺の夏は始まったばかりだった。
No601-06/05 02:25
麻元 友(D902i)
夕焼け空の下、子猫が足にまとわりついてきた。
真っ白な毛は夕焼けによって茜色を帯びており、野良猫とは思わせない綺麗さがあった。
「残念だけど拾ってはあげられないよ。ちなみに餌もない」
私の言葉が解るのか、子猫は小さくにゃあ、と鳴いた。
「更に今日は彼氏に振られて極限に機嫌が悪い」
私は猫に何を話しているのだろう。
「だからあっちに行きな。君の役には立たないよ?」
それでも子猫は離れなかった。
いつまでも私の足元をうろうろし、時折顔をあげてはにゃあ、と鳴いた。
気付くと私の目からは涙がこぼれていた。
何故かは解らない。
そうだ、きっとこの猫のせいだ。
半ば八つ当たり気味に子猫を睨むと、やはりにゃあと鳴いた。
そしていつまでも、私の足元を回り続けるのだった。


意味不明な文になってしまいました。
次は『足元』でお願いします。
No600-06/02 21:58
mati(SH903i)
学校から自宅へ向かうバスのなか、僕はふと考えた。このバスがもし、バスジャックに遭ったり、空から降ってきた隕石にぶつかったらどうしよう、と。いや、勿論本気で考え込んでいるわけではない。そんなことを本気で考え、身を守る方法を探すようなやつはとりあえず自宅より病院へ行くべきだと思う。
しかし、可能性は限りなく0に近い。近いが0ではない。もしも、ということもある。そうなった場合、僕は自分の身を守ることを優先にするのか、他の人を助けるべきなのか。普段の僕なら真っ先に逃げることしか出来ないだろう。しかし、いまの僕には心構えがある。普段よりは動けるだろう。けど、それで僕が逃げ遅れては、何の意味もないのでは?いや、それでも……



と考え込んでいた僕が自分の下りるバス停を乗り過ごしたのは言うまでもない。
『……病院行ったほうがいいのかな。』とぼとぼと歩いて帰るとき、燃えるような夕焼けがとても綺麗だった。

【夕焼け】でお願いします。
No599-05/31 10:26
久遠(HI38)
【能力】

生きる意味のある人間は、己の能力を最大限に発揮しながら生きる。
スポーツ選手なら、自らの運動神経を試合で最大限に発揮する。
俺も似たようなものだ。
そう自分に言い聞かせながら、俺は自分の仕事を淡々とこなす。

暗殺

それが俺の仕事であり、俺の能力を最大限に発揮出来る場だ。
それが幸せなことなのか、不幸なことなのか、俺にはわからない。
だが、俺の天職は暗殺者だ。それはわかる。
バスの中で、標的を見ながら俺はそう自分に言い聞かせた。
乗客の一人がバスから降りる。ただでさえ空いている車内がさらに空いた。



白い梟さんの話とリンクさせてみました。迷惑だったらすいません(^_^;)
次は【バス】で
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