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No863-06/21 23:39
白いフクロウ(812SH)
邪悪な笑みを浮かべた“地球”は、ぼくらの家や街を、奪っていった。
家族は無事だった。これは、喜ぶべきことなのだろう。亡くなった方も多いと聞く。
でも、それら以外の全てを、ぼくらは失った。
潰れた家屋は、まるで紙細工のようだった。それがぼくらの暮らしていた、想い出があちこちに染み込んだあの家なんて、とても信じられない。それくらい、無残だ。
“地球”はぼくらに試練を与えた。
人間のおごがましさを笑うように。
天災なんてどうしようもない、なんて声を聞く。じゃあ、ぼくらの家が潰れたのも、仕方のないことなのか?
地球の偉大さなんてどうでもいい。人間がおごがましいかどうかなんて、どうでもいい。
目の前にある、家だったものの死骸を眺め、ぼくはただ邪悪な“地球”を憎んだ。
『憎』で
No862-06/18 05:57
セルヴォ(CA34)
天才は話を続けた。
「だが、私の計画に気付いた君の頭脳は私にとって脅威となりうる。
……入ってこい」
その直後、どう見てもカタギには見えない男達が扉を開けて入ってきた。
「君には消えてもらうよ。
……ああ、助けを呼んでも無駄だよ、そんなへまをする奴じゃない事は、君が一番良く知っているだろう?」
そう言うと彼は邪悪な笑みを浮かべた。
ちょいと展開が安直過ぎたかな?
次は「邪悪な笑みを浮かべた」から。
No861-06/18 00:04
橘まき(F902i)
降参の意を示したその両手を見て、私は安堵するどころか更に警戒心を強めた。
「……あれ、まだ何か気に入らない?」
小首を傾げたその姿は普段なら鼻血モノだけれど、今の私にはもう、それが裏に潜む意図を隠すための仮面だと分かっている。
気に入らないと言えば全てが気に入らない。証拠も言質も押さえているのに、それでも尚感じるこの圧倒的敗北感。沈黙も会話も、全てがこの人に握られてしまう、そんな錯覚。
「……あなたの目的は、あの人を潰すこと。それは何故」
「大方、君の予想通り。あの人より権力を持った人はたくさんいるけど、実質、このクニのブレインは彼だからね」
叩くなら根本からだし、と彼はにこりと笑った。私は握り締めた拳に力を入れる。これを聞いたら負ける。けれど、私は。
「……あの子に。あの子に近づいたのは、利用するためだったの?」
彼は一瞬きょとんとすると、直後に吹き出した。この場に似つかわしくないくらい盛大に、いかにも堪えきれなかったように。
「――結局、君は友だち思いの甘いオンナノコなんだね。悪くない、悪くないよ。寧ろ美点だ」
でもその甘さは時に命取りだと、目の前の天才は微笑んだ。
初お邪魔します。
次は「天才」で。
No859-06/11 22:26
賢(PC)
「『知らない』と『知っている』では、確実に『知っている』のほうが優れたものだと、昔は思ってた」
「今は違うの?」
「勿論よ」
そう言った彼女の視線には、少し僕を非難するような色が見て取れた。「まさかあなたはそんなことにも気付いていないの?」というような。
「知っているの方がいいと思うよ。10円よりも1000円のほうが価値があるようにね」
僕がそう言うと、彼女は
「貨幣経済的な考えがあまりに浸透しすぎたことが大衆の思考を単純化している、ということね」
と、僕にではなくカーペットの染みに語りかけた。それから
「いい?1000円はその中に10円を含んでいる。でも『知っている』はその中に『知らない』を含んでいない」
と僕に言う。含んでいる、と含んでいない、の部分に傍点をつけたような話し方で。
そして「これで解らないようなら中学校くらいから勉強をやりなおしなさいな」といったような視線で僕の目を覗き込んだ。
僕は両手を肩の位置まで上げて、降参の意を示した。
次は「降参の意を示した」でお願いします。
No858-06/11 19:40
亜麻音(SH902iS)
呟く声が小さくて、何と言ったのか問うた。
「…………よ」
相変わらず声は小さくて。
再びお願いすると、うっすら頬が朱を刷いた。
「解ったよ。もっと近くに寄ればいいんだね」
ぐんと距離を縮めてみる。そして促してみる。
一瞬僕を映した瞳は俯いてしまいながら、再びさっきの言葉を呟いた。
「うーん。もう少し側に行っても良いかな?」
更に一歩。ほとんど触れ合う近さだ。
半ば硬直状態にして、俯く彼女の耳はもうすっかり赤くて。
「さぁ、もう一度言っ」
「…大好きって言ったの!もぉ何度も言わせないでよ!」
叫ぶような声。勢いで上げた顔は…やはり赤い。
恥ずかしさに潤んだ瞳に映る僕にニッと笑ってみせる。
「聞こえてないなんて言ってないよ。ただ、何度も聞きたかっただけ」
「なっ…!」
赤くなったり蒼くなったり…。
僕のガールフレンドは僕を飽きさせる事を知らない。
はじめまして。若輩ですが、よろしくお願いいたします。
次は「知らない」からでお願いします。
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