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雑談BBS

No813-03/23 23:31
女/ミラージュ
KC3A-Ly1NzEob
「3つ…」

私の目の前にはせんべいが三枚あった。
たちが悪いことに湿気てた。

「あやちゃん、せんべいお食べなさい」

私の名前を言い、無邪気に湿気たせんべいを勧める母。

「湿気てるのいらないから」

「まぁ、あやちゃんは何時からそんな贅沢になったん!?」

湿気てるせんべいをいらないと言った私は贅沢なのか。
むしろ、せんべいくらいは湿気てないものを子どもに与えようよ。

「あやちゃん。世界には食べたくても食べれない子がいるんで」

うん、湿気たせんべい食べたい人に与えちゃってください。
私に与えないでください。

「だから、せめて自分たちが食べるものは食べなさい」

「…じゃぁ、母さんが食べればいいじゃん」

母は、想いを我慢し小さな反論した私を真っ直ぐに見詰め言い放った。


「湿気たせんべいなんていらないわよ」

世界の不条理を学んだ瞬間だった。


次は「学ぶ」で。
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