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雑談BBS

No697-10/01 20:40
男/F.M
TS39-/yHcoTJZ
「略式だが、まぁいいだろう」
 ショウコさんはそう言って椅子にドサッと座り込んだ。
「ありがとうございます」
 僕は目一杯頭を下げた。今のうちにお礼をしとかないと後々ヒドい事になる。
「略式とは言っても結界はきちんと守られているからな。お前の半径10メートル以内は反魔法領域となっている」
 安心して行ってこい、と言うショウコさんの顔には、明らかに純真ではない笑みが浮かんでいた。
「……はい」
 返事をして部屋を出ようとした僕を――
「あ、そうだ」
 恐怖の声が引き止めた。
「忘れ物だ」
 その声に振り向いた僕の唇にショウコさんの唇が、そう、キスでもするかの様に触れた。いや、触れたなんてものじゃない。頭をショウコさんの両手で掴まれ(本当に痛かった)、これでもかってくらいに押しつけられた。
 酸素が足りなくなって、意識が遠くなってきた頃にやっと離してくれた。
「はぁはぁ……。お礼はしたじゃないですか」
「はぁ? なんだそりゃ」
 満足げに定位置の椅子に座り込んだショウコさんは不敵な笑みを浮かべた。
「これはな、私の趣味だよ」



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