雑談BBS
No56-2012/04/30 23:45
?/小松
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溶けるような暑さに、俺は一言唸った。
「暑い」
だが独身男の部屋にその言葉は虚しく吸い込まれ、静寂が嘲笑うかのように俺を包んだ。
毎日仕事漬けにされて暑さも寒さも感じる暇もなかったあの頃が懐かしく感じる。
あの頃は、休みといえば泥とか脱ぎ散らかした服みたいにぐったりするか、仕事関連の事を勉強するかで大変だったのに、今じゃ仕事も慣れて心に余裕が出来た。
そのせいか最近の休みは退屈で、どうしようも無い
部屋を見渡せば、壊れたクーラーにやつれたカーテン、傷だらけの棚が視界に入る、私服に至っては何年も買い足してないせいか古びている気がした。
いや、部屋全体が古びているのだ。
そういえば、通勤とかメシの買い出しとか、必要な事以外でめっきり出掛けていない、親や友達とも会っていないのだ。
「出掛けるか…」
俺は一人ごちながら立ち上がると、身なりを整えて財布をズボンにねじこみ、夏の日射しの中に出た所で固まった。
何処に行くのか決めて無かったのだ。
溶けそうな空気の中、どうしようかと思案する男の服装は学生の頃のまま、何一つ変わっていなかった。
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