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洞窟
官能リレー小説 - 同性愛♂

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洞窟 1

硬い岩壁に包まれた薄暗い洞窟の中を、歩く者達がいる。
先頭の者がカンテラを持ち、足元を照らしている。
彼ら五人は、中を探りながらゆっくりと進んでいる。
大きな剣を背負った一番の大男が言うと、カンテラを持つ男が答えた。

「随分と不気味な場所だな」
「怖じ気付いたのかジェス」
「違ぇよ!」

別の男が言った。引き締まった長身に革鎧を身につけている。

「でもよお…なんか生き物がいる感じがしないんだよな」
「確かにおかしいな。自然の洞窟なら何かしら棲みついてる動物がいるもんだが…」

長身の男に魔術師が同意し、他の男も同意した。
すると先頭の男が最後の一人に訊いた。

「なあアリシア、お前はどう思う?」
「自然の洞窟でも、人工の穴でも、これだけ長期間放置されてたら何か棲みつきそうなものね。やっぱり仕掛けがあるんじゃないかな?伝説は本当だったのよ」

アリシアと呼ばれたのは女だ。かなり若く、この穴の奥にある物に期待しているようで声が明るい。

不思議なほど何も生き物が出てこない洞窟を、五名は慎重に進み続ける。
冒険者仲間である彼ら五名は、これまで一緒にあちこちで仕事をしてきた。
先頭から順に、カンテラを持っているサーチャーのバダイアス、重ファイターのジェス、魔術師のギースに、ヒーラーのアリシア。最後を軽ファイターのリンツが固めている。
互いに幼馴染同士である彼ら五名は、自然とチームを組むようになっていた。
しばらくするとリンツが言った。

「なあ、伝説が本当だとしても解せないぞ。罠も何もない、いや無さすぎる」
「俺もそう思っていた…これだけ罠さえ無いのは、何かがおかしい。古すぎて作動しないものであっても罠は残ってたりするもんだ」

先頭のバダイアスも、疑心に囚われつつあった。
人工の洞窟だとしても、放置されていたにしては生き物があまりにもいない。
侵入者除けの罠すら無さすぎる。

「おい、あれを見ろ」
「何だ…壁画か?」

ジェスが奥を指さした。
カンテラに照らされて、うっすらと岩壁に絵のようなものが見えた。
その絵は赤いビキニだけを身につけたミノタウロスのようだった。
写実的ではない簡略化されたタッチなのにバキバキに割れた腹筋が生々しく描写されている。
「これが洞窟の主ってわけか?」
ジェスが言う。サーチャーのバダイアスはそれを否定した。
「いや、どうやら彼が一人で洞窟を占領してるわけではないらしい」
バダイアスが照らす方には同じ様なミノタウロスが10人ほど並んでいた。
彼等は洞窟の住人というよりはどこかから無理矢理連れ込まれたような雰囲気がある。
もし、彼等が洞窟で生活しているのなら何かしらの痕跡があるはずだ。
「絵の横に矢印みたいなものがあるな?その先に彼等が居るって事なのか?」
ジェスはその矢印が指し示す方向に走っていった。
「おい待て!罠があったらどうする!」
「すまん!」
慌ててジェスが立ち止まった。
先頭に戻ったバダイアスが慎重に探りながら
、他の者はそれに続き壁画の矢印に従い進む。
壁画がところどころにあり、ミノタウロスの生活風景らしきものや、彼ら五人も何処かで聞いたことがあるミノタウロスにまつわる伝承や民話の1シーンと思われる情景が描かれていた。

「これはあいつらの記憶か?」
「性的なのもあるね」
「あいつらが好色なのは昔からか」

リンツとアリシアが言う。
ミノタウロスと人間など他種族の女が性行為をしてる絵も混じっていた。
伝承や物語ではミノタウロスは好色な存在として描かれる。

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