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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-1

……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」

 合宿に向う里美を見送ろうと、紀夫と理恵はバス亭へとやってきた。
 ただいまの時刻は午前五時。会社に向うサラリーマンがあくびをしており、犬に散
歩をせがまれる飼い主たちが眠い目をこすっているまだ世間は就寝の時間帯。

「がんばってね、里美さん」
「分かってるわよ」

 早朝とあってテンションの上がらない里美だが、それでも表情は晴れやか。
 その理由は合宿のメンバー。
 悟が合宿に参加したことは里美にとって嬉しくないことだが、取り巻きは参加を見
送った。また、綾の参加もあり、わだかまりも薄れていたことがある。

「アヤッチも参加してくれて良かったね」
「うん」

 練習で倒れたと聞かされた陸上部一同は合宿どころではないと口を尖らせたが、次
の日には元気一杯、かつ、これまでの非礼を謝る素直な綾がいた。
 底意地の悪い部員は薄ら笑いを浮かべていたが、美奈子がそれを睨むことで彼女の
謝意は受け入れられたのだった。

「綾はあたしのライバルだもんね。よーし、今度の合宿で追い抜いてやるんだか
ら!」

 めらめらと闘志を燃やす里美は天高く拳を突き上げる。

「ふふふ、サトミン、元気だね」
「はいそこくっつかない。白線の内側までさがーる!」

 紀夫に寄り添うように首を傾げる理恵に気付いた里美は、やけに近い二人の間をわ
ざわざ通り抜ける。

「んもう、嫉妬しちゃってさ」
「これは嫉妬じゃないの。あくまでも高校生の清く正しい異性交遊というのがですね
え」
「いいよ。サトミン、しばらくノリチンとあえないし、理恵はバスが来るまで身を引
いてあげましょう……」
「な、別にそんなことしなくていいわよ! あたしは紀夫なんかと……」
「いいからいいから……」

 理恵は振り向くことなく手を振りバス亭をあとにする。そしてそのまま近くのコン
ビニエンスストアに入り、雑誌コーナーへと進んでいるのが見えた。

「あはは、理恵さんて変な気の遣いかたするから……」
「まったく、困ったもんだわ」
「そうだね」
「違うわよ。君よ、君」

 同じくらいの背丈の二人だが、里美がやや腰を曲げて下から睨みを利かせるように
目を吊り上げ、ひとさし指で紀夫の顔の中心をちょんとつつく。

「俺、何したっていうの?」
「ふん。知らない!」
「もう、里美さんまで……わかんないや……」

 合宿が始まれば十日近く会えなくなるというのにこの態度。女性の扱いもそれなり
に学んできた紀夫でも、最近の里美の扱いは手に余る。
 自分勝手に機嫌が悪くなる里美をよそに、紀夫は腕時計を見る。
 もうしばらくすればバスも来る。あと数分程度、彼女が黙っていてくれれば何事も
なく見送れる。それが果たしてよいことなのかはおいておき。


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