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〜ハロウィン忌憚〜 黒髪少女侵蝕
【レイプ 官能小説】

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ほころび-1


 2001年 晩秋…… 空は厚い雲に覆われていた。

 小学5年生だった恵利子は、理不尽なイジメに遭っていた。
成績優秀、品行方正でクラス委員だった少女に然したる原因はなかったが、イジメの理由なんて何でも良かったのだろう。

クラスに心を許せる友達も無く、恵利子はいつも一人でいることが多かった。
もちろん家に帰れば可愛い双子の妹に優しい両親もいたが、この時の恵利子には家族とは別に価値観を共有できる友達が必要だったのだ。

 そんな時、出逢いは突然に訪れる。
きっかけは些細な事…… 場所は市立図書館であった。

 恵利子の閉ざされていた記憶の扉が、微かに開き始める。

(お兄ちゃん…… そうだ、あの日お兄ちゃんが助けてくれた。私の代わりに…… )

 淋しさを紛らわす為私立図書館に通うようになった恵利子だったが、その日はどうしても持ち帰って読みたい本があった。
でも、貸し出しをしてもらう手順がよく分からずに困っていた。
ひと言職員に声をかければ済むことなのだが、それがイジメを受けていた恵利子にはどうしても怖くてできなかった。
カウンターに居る大人が、とても遠く怖い存在に思えてならなかったのだ。

本を片手に思案顔でウロウロしていると
『ねえ、その本を借りたいの?』
見知らぬ中学生の少年が声をかけてくれて、一緒に手続きをしてくれた。

 それが、お兄ちゃんだった。

 それからの恵利子は、足繁く図書館に通った。
小学五年生の少女と中学二年生の少年とであったが、共通の趣味を持つ二人にとってその距離が縮まっていくのに左程時間は必要としなかった。

≪二人だけの秘密だよ…… ≫
 少年は優しく告げる。

 幼い恵利子は思い出していた……

 お兄ちゃんはとても優しくて、ひとりだった恵利子といつも遊んでくれた。
いろんなことを知っていて、とても頼もしくて、いろんなお話もしてくれた。
いつも、いつも、どんな時でも助けてくれる。
恵利子だけの優しいお兄ちゃんだ。

 お兄ちゃんのお誕生日も、おじいちゃんの家で…… 内緒で、二人でお祝いした。

『エリちゃん、知ってる。これ、デジタルカメラって言うんだ。すごいんだぜ』
誕生日にお父さんとお母さんから、プレゼントされたと喜ぶ少年。

「すごいの?」

『ほらっ、ハロウィンって言うんだ。ディズ○ーのイベントにも行ってきたんだ』
 そう言って小さなモニターに映された画像を見せてくれる少年。

「ほんとだ! お写真がこんなにいっぱい、すごい。あっ、カボチャさんも」
 嬉しそうな笑顔の恵利子。

『ジャック・オー・ランタンって言うんだ』
 得意げな少年。

「じゃっ、じゃっこ・おう・らんたん?」

『そうだ。今度一緒に。そしてこれで沢山…… エリちゃんを撮りたい…… いいかな?』
 頬を染める少年。

「ほんとう? 恵利子もディズ○ーにお兄ちゃんと。うれしい、お写真にも写りたい」

 二人でたくさん、お話をした。
この日はおじいちゃんもおばあちゃんもいない日。
だから恵利子は誰にも内緒で、お兄ちゃんを招待した。

≪ガタッ≫

ガタッガタッガタッガタッ、ガタッガタッガタッガタッ……
微かに開きかけていた“記憶の扉”に深い亀裂が幾つも入る。


( ……痛いっ 痛い。頭が痛い)
 激しい頭痛に顔を歪める恵利子。


扉に入った深い亀裂から暗い光が漏れだすと、そこから先の記憶がコマ送りのようになり、色褪せ不鮮明になっていく。
それでも辛うじて、記憶の扉が閉ざされずにはすんでいる。

 しかし、再び甦りつつある記憶は……
くりかえし見続けている“悪夢”へと繋がっていく。

『まっ、ま、ま、待って!』

 後ずさる少女に、追いすがろうとする男の影。
しかし、その男には…… なぜか? 顔は…… ない? 顔が見えない。
まるでトリミングされたように、その表情をうかがい知ることができない。

「痛いっ、痛いっ、やだぁ、やだやだ、止めて」

 腕を掴む男に対し、必死に抗う少女。

『いいから、来るんだ』

 力任せに少女を抑えつける男。

「ふぅっ、ぐぅぅ……」

 背後から抱き着かれ、押し倒され口元を塞がれた少女は、苦し気に幼い顔を歪ませる。

『エッ、エリちゃん。大人しく、大人しくしてくれ。そうしてくれないと、もっと痛い思いをする事になる。ちょっと、ちょっとの間で良いから』

 息を荒げ、身勝手な願いを口にする男。

『いい加減にするんだっ! 言う通りしないと、コイツがどうなっても知らないぞ。さあ、言う通りにするんだ…… 』


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