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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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忘我4-1

「奈津子に……構っている場合では……ないのでは」
 痛むであろう胃を押さえ、義雄は苦しげだった。立ち上がる気力は、もうないのかもしれない。
「何のことだ」
 奈津子の体に両腕をぐるりと回したまま、岩井は呆けたような顔を見せた。
 耳に強い性感帯があることは熟知している。しゃぶっていた耳から口を離して応じる。
「政治生命を、絶たれるほどの出来事が生じた……さしずめ……金のこと」
「政治生命と金……」
 独りごちてから、何かを思い出したように、動きを止めた。スーッと快感が抜けるような気がした。奈津子のあごをつかんで、正面から見つめる。涙でぐしゃぐしゃにした顔を指でなぞる。
「そうか、電話か。あれを、見られていたのだったのう……色々と想像したということか」
 指先が、何度も何度も涙をぬぐう。
「可愛い顔だ……」
 そこで話を止める。涙で霞む岩井の顔が目の前にある。あまりに人間味のある表情に息をのんだ。
「この腹の中に、ワシは毎日、子種を注ぎ込んだ。もう一度、放つために、こうして交わっている。悪魔のようにのう……」
 奈津子の腹をなで回す。
「夫の目の前で、その妻がたった今、ワシのマラを喰い締めているのだ。お前のマラくわえ込むには、この体は役不足になった。妻の子壺は、夫以外のマラで開花する」
 ワンピースの上から乳房を握った。
「これほど質のいい子壺はそうはない。それが、ワシを惑わす……」
 ブラジャーを付けていないので、直に愛撫されているようだ。
「い、いや……」
「ワシのマラが、お前の妻を、作り替えてしまった」
 まるで後悔でもしているかのように、同じ言葉を繰り返す。
「ワシの子種を吸い取るだけの体にのう……」
 手のひらが上半身を覆い尽くす。乳房を中心に縦横に蠢く。サテン生地がしわくちゃになっていった。
「こ、ここでは、いやッ……あッ、だ、だめッ……あぁッ……」
 乳房を揉みほぐす岩井の手にしがみつく。赤く染めた顔を隠すように岩井の肩に伏せていた。
「あぅん……ふぅん……いや……」
 下からの律動と同時に執拗な愛撫。声を押し殺そうとするが、かえっていやらしい響きとなる。
「胸を揉むと、たちまち突起がかたくなる。初めての時からそうだったのう」
 まるで粘土でも捏ねるように乳房を揉みほぐす。右へ左へと荒々し愛撫が続く。
「ヒッ……」
 奈津子は白いあごを見せた。
「体の芯に種火が残っているとはいえ、亭主の目の前でさえこのとおり。いつでもどこでも、気をやる」
「いや……ううん……くふぅ……」
「奈津子の体であれば、いくらでも出る。吐き出しても、吐き出しても、怖いくらいにのう」
「あふぅ……」
 それぞれの突起の頂点に指先をめり込ませている。岩井に怖いものなんてあるわけがない。
「子壺の動きが変化しておる……ワシのマラをこれほどまで……ううむ……」
 ワンピースは腰までまくれ上がっている。両足を拘束するような形で絡みついているパンティをそのままに、腕ごと抱き込み、膝の下に腕を入れて、奈津子の体をVの字にする。角度を調整して付け根まで挿入した。
「オオッ」
 結合部に意識が集中する。異様な角度で子宮をえぐられる。ガクンと首を仰け反らせ、岩井の体に頬を押しつけた。
 杭のように挿し込まれているペニスから、奈津子の方から結合を解くことは不可能である。岩井は、このペニス一本で奈津子の体を支えられる。犯されてすぐ、それを知り、たちまち経験したことのないオーガズムへと導かれたのだ。
「夫の目の前で、何度でも、気をやればいい」
 岩井はそういって、奈津子のお尻で円を描くように交わった。
「アアッ……見ないで、あなたッ……アアッ、ダメ、堪忍……して」
 抱えたまま奈津子の顔にほおずりをする。岩井の顔が涙と唾液で濡れる。抱き上げたまま器用に奈津子の頭部を抱え、喘ぐ唇に鼻をこすりつけている。
「ううむ……お前の唾のにおい……」
「ゆ、許してッ、体が、おかしくなるッ……オォッ……」
 義雄がこのマンションにいることさえ、信じられない。身動きがとれないよう、薬物が投与されていることは間違いない。圧倒的な体格差がある。ひどい暴力をふるわれたのではないだろうか。岩井に殴打された義雄のことが心配でたまらない。
 心配だが、今の快楽と天秤にかければ、鉄の塊とわずかな綿ほどの違いがある。服を着せた理由は、夫に見せるため、できるだけいやらしく見えるシチュエーションをつくるのが目的だったのだろうか。パンティを膝に絡ませ、下半身のみをまくり上げ、お尻だけを丸出しにしてペニスを挿し込む性行為は、果たして思惑どおりになったのだろう。
 奈津子が望んだのは岩井と二人きりの密室での性行為である。でも、この狂おしいまでの快感は、それだけでは味わえなかったに違いない。狂っているのだ。
 小刻みな律動に変わっている。粘液質の音が耳朶に届く。ふっ、ふっと、岩井の息が顔にかかる。こんな切迫したような息づかいは記憶にない。こみ上げる愛おしさで、全身が粟立った。
「見ないでッ……アアッ、我慢できないのッ……あなた、許してッ……アッ、アッ……く、くるッ……」
 抱き地蔵……長大なペニスの持ち主でなければ不可能な体位。
「ぐふ……ぐふ……」
 耳元で岩井の呻き声が聞こえた。


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