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電脳少年の旋律
【鬼畜 官能小説】

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The shiver of kira-2




「ACE022ないの。20じゃ暗いんだよ。PMW-F55を三台ってのはいいチョイスだけどよ。でもさあ、これ、シナリオないのシナリオ。シナリオないと演出出来ないじゃない。カメラにライト、リフレクターにバックグラウンドって記者会見じゃねえんだからさあ」
「ええと、話ではなんか素材がいいから出来るだけシンプルにって話で」
「あのさあ、どんな花にだって良い花瓶がいるだろう?絵には額が必要なんだよ。こう、映えるやつがさあ」
「……シナリオっていうか。これ、シナリオじゃなくて仕様書だよなあ」
「見せてみろよ、それ」

A4のワープロ出力には数行文字が連なっているだけだった。

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商品名:セックスドール「キラ」
身長:144cm
体重:37kg

調教:済み(鬼畜レベルA)
クラス:ダイアモンド/ラピスラズリ

口淫:レベルA(喉貫通済み)
陰茎:包茎
肛門:性交レベルA/巨根・ディルドー・DP対応(尿道姦OK)(DRY可)
性質:淫乱レベル特A/M資質特A
声質:ボーイソプラノ

撮影手順:告白に続き外観の展覧、弊社スタッフ(複数)への奉仕と肛門性交(複数)、射精、各種器具による折檻、本人による児童売春のお願い

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「………………………………………………」

「………あんまり口を出すべきじゃなさそうですね」





天井の高い地下スタジオはコンパクトでありながら壁は全て段差を持つ天然木。一面は捲れ上がった白いホライゾン。
分厚い遮音材に囲まれたその部屋は静謐と言うよりは無音。
入ってきたのは頭にフードを被り、すっぽりとスモックコートに身を包んだ小柄な人影とそれを取り巻く四人の男たちだった。

先頭を歩くブルックス・ブラザーズのスーツを着こなした若い男と、Tシャツに土木業の作業ズボンの男が並び、小さな人影の右側にはだぶだぶの迷彩服になぜかゴーグルを被った長髪男、そして左側にはそっちの業界だと一目でわかる頭を剃り上げた巨漢。
「カタギじゃねえな」監督は独りごちた。

到着するやいなや、巨漢は持ち込んだ組み立て式のテーブルを組み立て、作業ズボンの男は持ってきた旅行用のトランクから手際よく素性不明の奇妙な道具を並べ始める。
ブルックス・ブラザーズのスーツの若い男が愛想の良い微笑みを浮かべてマネージャーと監督に歩み寄った。

「始めまして、伊集院と申します。本日はよろしくお願いします」
そう言うと、名刺を取り出して二人に頭を下げる。
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東京オリエント商会 制作 伊集院郁夫
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監督は名刺と男を見つめて首を傾げながら無言で頷く。
マネージャーは揉み手をする一歩手前で腰を折った。なにしろ手付け金三千万円の上客だ。

「はい、この度は流星プロダクションをご指名いただきまして、誠にありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
「いやいや、けっこうなスタジオを用意していただいて。まあ商品の都合上ごくごく内密なものですのでそこの所だけご了承いただけると」
「内密、と言いますと?」
「撮影の間は携帯電話の電源をお切りになっていただき、またこのスタジオから一歩たりとも外に出ないよう、またどのような火急の用件であれ外部との一切の接触を謹んでいただきます。そちらの撮影用のコンピューターの回線も抜いていただきます」

監督が驚いたように顔を上げて男に唾を飛ばす。

「な、なに言ってんだよ。今時データのバックアップはクラウドだぞ?ジョーシキじゃん」
「手前共の商売はブラックボックスが基本でございまして、データの流出はどのような可能性も潰しておきませんと。これはお互いの利益と安全のためとお考えください」

伊集院と名乗った若い男はにこやかな笑みを浮かべてはいるが、その眼は凶悪に据わっていた。
監督もマネージャーも、すぐにこの男がその筋のパワー・マネージャーであることを見抜いた。

「わかりました。とにかく最高の絵を撮らせていただきますから。35mmの4k、音も56kのDATです。劇場レベルの映像と音質をお約束します」



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