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【調教 官能小説】

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直人との出会い-1

手渡された住所を頼りに見上げた所は豪華を尽くした厳重な高層マンションだった。入口で佇むコンシェルジュの女性は不躾な目線を失礼に合わさないように辺りを微笑んでいるようだった。

「川瀬夏希といます。青山沙也加さんはいますか」
「青山様ですね。少しお待ち下さい」

ここはホテルなのかと思わせる広く豪華なラウンジに高級ソファーが並びボーイが珈琲を落しているようだった。

「川瀬様、御用件を頂けますでしょうか」

胸元のマイクと耳元のイヤホンで連絡を取りながらわたしに尋ねるよう促されてるようだった。

「幡ヶ谷事務所に所属してる川瀬夏希です。沙也加さんに此処に来るよう言われて来ました」

安心させるようわたしに穏やかな笑顔を向けて「少しお待ち下さい」と優しく目元は笑っているようだった。胸元のマイクに囁くように確認しカウンターのボーイに大きく頷きを向けていた。

「川瀬様。ご案内致しますので此方にどうぞ」

厳重なセキュリティの自動ドアの隣で慇懃なボーイは深く頭を下げてわたしを待っているようだった。わたしが近くと神経質な機会音が厳重な施錠を解除するように静かに音を響かせていた。

「青山様は38階で御座います」

ボーイは深く頭を下げたままエレベーターに手を差し伸ばしわたしが通り過ぎるのを待っているようだった。エレベーターに乗り込み38階を押してもボーイは深く頭を下げたままだった。

「ちょっと。これマンションなの」

ドアを閉じたわたしは緊張を解かれたように呟いてしまっていた。エレベーターの姿見は大きく室内全てを映していた。わたしはジーンズに黄色いシューズにティーシャツを着た軽装で訪れてしまっていた。

「まぁいいか」

恥ずかしく袖元を質していたときエレベーターは38階を知らせるようにゆっくりと扉を開いてた。

フロアーに降りたわたしは途方もなく広く続く絨毯の長廊下を眺め、目の前の豪華なインターフォンに青山と墨印されていることを確認していた。
インターフォンのカメラレンズはわたしを試すように見つめ咄嗟にわたしはモデルらしい笑顔をレンズに向けてその時を待っていた。
重厚な音を立てて落ちたセキュリティロックの解除音を響かせ、目の前に現れた人は、沙也加さんでなく爽やかな青年が綺麗な笑顔を向けてわたしを微笑んでいた。
わたしには戸惑うことしかできなかった。

「沙也加ならもうそろそろ戻ってくからどうぞ此方に。夏希さん」

男性は紳士に家の中で待つように促していた。突然の訪問で家に入るのは憚れるようで「1階で待ってます」と何度か断ったけど「沙也加に僕が叱られますよ」と諭す綺麗な笑顔に根負けするようにリビングに遠されていた。

「沙也加は戻ってくるからお先にどうぞ。夏希さん」

紳士な男性は脱ぎ捨てたシューズを揃えてわたしをリビングに促していた。

「凄い」

豪華な大理石の長廊下と途轍もない部屋数を伝える多くの扉にわたしは圧倒されてしまっていた。リビングに辿り着いたわたしの視界には都内全てを見渡せるデカい眺望が大胆に輝き東京の景色を独り占めしているようだった。

「世界が違いすぎる」

唖然と眺望に向かって都内を眺めていたわたしは強い羨望を抱いていた。

「紅茶でいいですか」

紳士な男性はダイニングからわたしを見つめ微笑みながら笑い掛けていた。

「はい。すいません」

沙也加さんが居ないリビングで浮かれたわたしは恥じらいながら天鵞絨のソファーに座ってその時を待っていた。

「どうぞ。沙也加に電話しますね」

芳醇な紅茶の薫りがリビングに広がっていた。「流石、沙也加さんね」そう思いながら温かい紅茶の蓋を空けて目の前の大きな鏡にモデルの笑顔を向けて電話が終わるのを待っていた。

「夏希ちゃん。ごめん。沙也加来れないって言ってるから変わってくれる」

誠実な青年は優しく電話をわたしに渡して微笑んでいるようだった。

「沙也加よ。ひと言ゆってくれれば待ってたのよ。ごめんね。今、戻れそうもないのよ」
「すいません。わたしも急に話を聞いたものですから」
「夏希ちゃん、今ね主催者に掛け合って夏希ちゃんには報酬を払うように話し合ってるところだったのよ。だから、今は戻れそうもないのよ」

駆け出しのわたしに気遣う優しさに嬉しくて泣きそうに頷くことしかできなかった。

「今日はそのまま帰るのよ」
「あとのことはわたしに任せるのよ」
「はい。わかりました」

そう言って涙を浮かべたわたしは電話を切って紳士な男性にお礼を伝え家を後にしようとした時だった。

「夏希ちゃん。自己紹介しておきますね」

そう言って一人掛けソファーに座った男性は膝に手を載せ誠実にわたしに微笑みを向けていた。

「ごめんなさい。なんだかわたしだけが舞い上がってしまっていて」
「いや。いいんですよ。僕が先に伝えるべきたったんだ」

恥ずかしそうに笑う姿は若者のような子供っぽさを覗かせていた。

「青山直人です。沙也加の弟です。沙也加と違い僕は各国の不動産管理と名義貸しを主な仕事としています。今後も沙也加のこと宜しくお願いします」

直人と呼ばれる男性は若者らしからぬ貫禄で深く頭を下げてわたしに立派な自己紹介を終えていた。

「此方こそ宜しくお願いします」

わたしにはそう答えることしかできなかった。


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