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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈亡者達の誘う地〜最終章〉-1




『……なんだ、八代の奴か……』


警察や政府軍では無かった事に安堵をしたものの、日本に居るはずの八代がヘリで現れるというのは、ただならぬ事態であるのに変わりない。


『往き足を止めろ、停船だ』


スクリューの回転を止めても、巨大な船は直ぐに停止出来るものではない。
慣性の法則に従ってゆるゆると進んだ後、次第に速度が下がっていき……そして貨物船は完全に停止した。



『しかし……発信器を着けておいたとは抜け目ないな』

『いつでも先を読んでおかないとな……』


あの日、優愛を運び込んだ時に、八代は貨物船に発信器を着けていた。
今日はたまたま好天であったから目視出来たが、もし雨天だったとしても、決して逃がさないようにという手を、予め打っていたのだ。


ヘリを操縦しているパートナーは、もう一度貨物船の周囲を旋回し、八代を降ろせる場所を探した。
長い甲板には原木が積まれているし、クレーンが聳えていて近付くのも危険だ。


『あそこに寄せてくれ』


八代がパートナーに指示した場所は、艦橋と原木との間の、左舷後部甲板であった。
そこはあの日景子と戦った、少しだけ開けた場所である。


『かなり厳しいな……手に汗を掻くぜ……』

『フフ……そんな手子摺ってるようには見えないぜ?』


スムーズに降下していくヘリの中で、八代は自分の“仕事”の準備を始めた。
拳銃の弾を再確認し、ライトブラウンの色をした粘土のような物と、配線が生えた小さな箱をポケットに詰めた。


『プラスチック爆弾か……それなら何処でも貼り付けられるな……』


柔らかいプラスチック爆弾は、ダイナマイトのように固定する為の工程を必要としない。
200グラムで三階建てビルを破壊出来る破壊力を持ち、しかも少量でもドーナツ状に貼り付けて起爆させれば、コンクリート壁でも穴を開けられる。


『よし、そろそろ昇降ワイヤーを降ろしてくれ』


スライドドアの上部に備えられている、太鼓のような形をしたウインチから下がるケプラーワイヤーを、八代は両手で握って身を乗り出した。

この昇降ワイヤーは、完全に着陸しない状態で、戦闘員を降ろす為の装備である。
足場の悪い泥濘地やガレ場などで、強襲展開するには打って付けといっても良い。
そして、それは今の状況でも、実に効果的と言えた。




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