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電脳少年の旋律
【鬼畜 官能小説】

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The shiver of kira-1



「その『お試しショタのプロモ』ってのはどこからの企画なんだい?」
「ええと……なんでもショタ系の闇動画でちょっとコアなのがありまして。かなり人気があるらしいんですよ。そのモデルを使ったオリジナルビデオ制作の依頼だそうです」
「そんな事言ったって、それ、ホモの動画だろう?しかも幼児性愛の。マーケットなんて限られているし、そもそも需要は満たしているんだろう?なんで俺らプロが手がけるの」
「なんでも、『顧客の幅を拡げたい』そうなんですけど」
「顧客って。ノンケを落とすって訳?ホモの、しかもはっきり犯罪成立確定の。条例も法律もへったくれもなく。」
「……でもねえ。それやるしかウチが乗り切れないってのは事実なんですけど」
「俺はこんなビデオ回してる柄じゃないの。フィルムが本業で映画館を一杯にしてたんだがなあ……巨乳じゃトップクラスの巨匠よ?」
「あのね、監督。もうその分野自体がカツカツなんですよ。素人が今時のカメラやソフトを使って、ちょっと気の利いた編集しちゃうと十分に見れるの作っちゃいますから。ユーザーが抜くには十分なんですよ」
「いくらコンピューターが発達したって、レンズと照明、それに自在なアングル、そして男が堪らねえ絵がそうそう撮れるか?撮れないだろ」
「『巨乳』でGoogleに何十万ヒットすると思っているんですか。視聴だけでなくDVDやダウンロードが目白押しですよ。それも月替わり、週替わりじゃありません。数時間単位なんですから」
「んなもん『カス』じゃねえか。芸術がわからない連中に媚びを売る必要がどこにあるんだよ」

監督とパーテーションで区切られたブースで相談しているのは、弱小プロダクションの販売・営業・撮影の段取りを一手に任されているのは30そこそこの若手マネージャー。
フランネルの軽い生地のジャケットを品良く着こなして飄々とした姿はどこから見てもイケメン。監督は「リア充」という言葉を認めたくはないが、この男がその標本だと言うことは認めるしかなかった。
プライドを傷つけられた映画監督にカフェラテを手渡しながら若手マネージャーは話を続ける。明るいオフィスの中で、会話だけが異次元だ。

「むろん、通常ルートには流通しませんよ……ただ連中は「闇ロリ」のメニューに加えるつもりそうです。なんでもそのショタのビジュアルは誰が見たって美少女アイドルにしか見えないそうですから」
「ふうん……ロリコンが美少女のロリ動画を見つけて開いたらショタだったってカラクリか。そんなのすぐにバレて、スキップされてお終いじゃない」
「……中学生や陰毛の生えた高校生ならそうでしょうね」
「ん?ショタって14歳から16歳ってとこだろ?」

若手マネージャーは人をいらだたせるような軽薄な笑みを浮かべる。

「正真正銘の小学生男児だそうです」

「ふん。そんなものが本当にいるのかねえ」
「監督、実はこれ受けないとこのプロダクション倒産しますよ」
「……そんなにか」
「来月15日の手形が不渡りになるのは確定です。それが二回目になりますから」
「…………いくらだ」
「1,200万。ちなみに当座残金は18万円ってとこですね。それまでの収入予定はありません」

監督はもともと不機嫌な顔をさらに曇らせて舌打ちをする。
そして事務職の女性を流し見る。長身のスレンダーなパンツスーツ姿が似合っている。髪の毛はひっつめ三つ編みで知的な容貌。見るからに戦闘的だ。
(手切れ金が1000万だとお?法外にも程がある。澄ました顔しやがって、服を脱がせりゃド淫乱。そのくせ金には人一倍汚ねえ上に「権利」までこきゃあがる)
監督の脳裏には荒事専門のその手の友人を思い出す。
晴海にある冷凍貯蔵庫。マイナス30度の冷凍室に転がしておけば翌日にはマグロの隣に並ぶ。あとはハンマーで砕いて江戸川の小魚の胃袋に収まる。

監督が誘い出しの手順を頭に描いていると、ジャケットを品良く着こなした若手マネージャーはなんでもない事のように呟いた。

「とりあえず、3,000万円。流通のキックバックはもっといけるそうですよ」



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